演劇祭関連企画第1弾! 現在を軸とした追憶のパネルトーク
福岡の劇場をキーワードに、過去40年を振り返るパネルトークです。
福岡で演劇活動を行っている演劇関係者をパネリストとして迎え、思い入れのある劇場について語り合いました。
当日のトークの内容を公開しています。
6月19日 17:00 ~ 20:30 |
第1部:劇団設立10年以内・前後の世代によるパネルトーク >>議事録 |
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第2部:劇団設立10年以上の世代によるパネルトーク >>議事録 |
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第3部:劇団設立20年以上の世代によるパネルトーク >>議事録 |
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6月20日 17:00 ~ 19:00 |
福岡の歴史をつなぐパネルトーク >>議事録 |
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概要 | レポート |
仲谷:それでは第2部でございますけれども、劇団設立10年未満の皆さんに暖かいいいお話をしていただきまして・・・・・・。ただ1つ残念なのは、甘棠館の話がまったく出てこない(笑)。だからこれは私が話すしかないかなと思っているんですけど。あと、もう1つ残念だったのが、私ひとりだけスーツでやってきてまして、荒巻さんなんか短パンですからね(笑)。
荒巻:すみません(笑)。
仲谷:まぁ、今からじっくりとお話させていただきたいと思います。では今から劇団設立10年以上の世代のトークに入らせていただきます。本来であれば私もどちらかといえばこちらのパネリストの方にいきたい立場の方なんですが、なぜ今回司会なのかといいますと、実は、わたくしの演劇活動そのものが小演劇場活動であったということで、常に拠点のある劇団が劇場があったんですね。テアトルハカタの頃には博多こもんど4.22、それから劇場テアトルハカタ。劇団ショーマンシップになりましてからは港町エンターテイメントステーション、そして今、甘棠館Show劇場という、そういう拠点をもって活動をしてきておりますので、比較的1つのどっかの劇場を使ったという体験がないもので、今日は司会として一生懸命努めさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
仲谷:とまぁ、こういう場合、荒巻くんから口火切ってみるようなトーキングでしたがねぇ、どうですか、私の好きな劇場…あるいは記憶に残る劇場というのは。
荒巻:まぁ、なんというか、僕、照明屋さんで、劇団員とか役者さんとかじゃないんですけど、学生時代から活動をやっていまして、一番鍛えられたとか勉強させてもらったとかは夢工房なんですね。劇場のなかで。
で、福岡には、今こういう、なんというんですか、ガレージ的な劇場というのが少なくなって、ちょっとそれは寂しいんですけど。自由に色んな事ができるのでここで色々と勉強させてもらったというのはありますね。
仲谷:夢工房は第1部でもお話に出てきましたけど、まずそれこそ楽屋とか考えられなかったですね。
荒巻:楽屋とか写真にもありますけど、舞台のそでの階段がかかった上ですからね、楽屋が。
仲谷:テアトルハカタ時代の博多こもんど4.22というところも、ビルのつくりからして楽屋がないんですよ。楽屋どころか、上手に隠れる役者はお客様が入って来る前から上手にいなくちゃいけないんです。だから30分前からスタンバイしておいて、ホイと立っとかないといけなくて。で、若いアシスタントや私たちがスタンバイしてると、そうすると先輩の女優さんが僕の出番の前の人を飛ばしまして、僕が出れなかったってことがありましたね。
荒巻:さっき1部で夢工房の照明のつり方って話がでていましたけど、ほんとにこれ、高さが2mくらいなんですよね天井まで。だからほんとに脚立もいらないくらいのところで、照明機材吊って、とか、普通、照明機材ってそれを吊るための金具をつけるんですけど、それすらつかない、それつけたらお客さんの頭の上の高さまで下がってしまうので、クリーニングでもらってくるハンガーなんかをぐにゅってしてそれで吊っちゃうとか、そんなことやってましたね。
仲谷:本当のハンガーを照明のハンガー代わりに使うの?
荒巻:そうですそうです(笑)。そんなんやってましたねー。
仲谷:私がつっこみをいれるたびに後藤さんが厳しくみるので・・・・・・。
後藤:(笑いながら)大丈夫大丈夫。
仲谷:大丈夫っすかー。えーと、では山内さん。はじめまして。どうぞよろしくお願いします。
山内:よろしくお願いします。
仲谷:ここで挨拶しても無駄なんですけど(笑)。
山内:そうですねー(笑)。
仲谷:山内さんはどうですかー。
山内:えーっとですね、うちも公演のたびに空いてる小屋とか安い小屋とかヒットしているところに行くんですけれども。一番思い出に残っているのは、うちの劇団でもですし、前にいた劇団でも使用していた、藤崎にある早良市民センターというところがあるんですけど。そこは市の公共施設になりまして、客席数が500くらいなんですけれども、あの、小屋付きと呼ばれるテクニカルのスタッフの方がいらっしゃるんですね。音響、照明とか舞台とか、この3つがテクニカルというんですけど、ここの小屋付きの方がたまたまなんです。
仲谷:え、たまたま。
山内:たまたまだとなんですけど、すごく怖くて。
仲谷:たまたまなんだと思うんですけど、やっぱ市民センターとか市民会館とかいくと、たまたま怖い方がいらっしゃいますよね。
山内:ね、たまたまなんですけども(笑)もちろん、うちの旗揚げ当初というのは、劇団の中にはテクニカルのことを専門的に勉強している者がまったくいなかったので、とにかく専門知識があるプロの方にお願いをするべきだ、というのでその小屋を選んだんですよ。もちろん何もわからないので「何、これもわかんないの」と怒られるわけです。何をするにしても「ここに何をおいちゃダメ」とか「なんでそこでそういうことするの」みたいにすごく怒られて、怒られた経験があってこういうのじゃいけないと、情けないぞと、市民ホールサービスに入りました。(笑)
仲谷:あの、怖かったスタッフさんって…市民ホールサービスのスタッフさんなんですか。
山内:あ、ごめんなさい(笑)
仲谷:そういう風にとれるんですけど…違うのかな
山内:あの…そうです(笑)
仲谷:でも、市民ホールサービスさんに入っちゃうってのがすごいですよね。
山内:やっぱりなんといいますか、舞台っていうのが、すごい、もちろん楽しい場所でもありますし、お客さんにいろんな立場で提供する立場でもあるわけなんですけれども、その分照明機材があったり、音響があったり、スピーカーがあったり、とても大きな危ないものがたくさんあるので、その危険なものを扱っているんだというのを教えていただいたような気がして。「お客さん呼ぶには勉強しないといけないな、スタッフのこと」と思ってバイトに入りました。4年くらい。
仲谷:それは…荒巻さん。僕らくらいの世代では、演劇人として認めてもらうために、裏ができることはとても重要でしたからね。
荒巻:あー、もう僕もそこでアルバイトしていたので
仲谷:市民ホールサービスに(笑)
荒巻:僕は先に裏の方から入ったので、どういう使い方とか……。ちょっと長くなりますけど、舞台って歌舞伎とかそのへんから日本って歴史的にあって、舞台を使わせていただくという感覚ってのがすごくベースにあって。その中でホールの管理をしている方ってのは、そこの舞台を守っているとかっていう意味で、厳しくもあったし色々指導してくださることもあって、そうですね、僕は先にそこらへんから学んだですね。
仲谷:さぁ、後藤香さん、好きなだけしゃべっていただきたいと思いますが(笑)
後藤:なにおっしゃってます(笑)
仲谷:後藤さんが印象に残ったりしたところはありますか?
後藤:ぽんプラザホールができるまではJT、たばこ産業のビルですね、赤坂にある・・・・・・。
仲谷:キャビンホールですかね。
後藤:はい、キャビンホールですね。
仲谷:これはですねー、私たちの世代は使ってましたねー。
後藤:はーい。そうですね、今のぽんプラザホールみたいな感じで、キャビンホールを使う。
仲谷:おそらく地元の劇団はだいたい使ってましたねー。
後藤:そう、そうですねー、おそらく使っていたのだと思います。
仲谷:キャパは120?
後藤:いや、100ですね。一番使っていたからですね。小屋つきの方の話を(山内さんが)したじゃないですか。キャビンホールは小屋つきの方がいないんですよ。というか、ビルのたばこ産業がもってるビルの下にある空間なんで、小屋つきの方とかがいないんですよ。
仲谷:ぎりぎり「企業メセナ」という言葉が残っていたころに。
後藤・荒巻:そうそう。
仲谷:メセナ活動の一環としてもっていた、ということですね。
後藤:そうですか? そうでしょう? はい。そうだと思うんですが(笑)なので、・・・・・・なんもわからないんですよ。怒られないし。あの・・・・・・今日、裏方の方っていらっしゃるんですか、小屋つきの方もいらっしゃるんですか?
正直に・・・・・・。
仲谷:ぶっちゃけきいていいですか。この中で、市民ホールサービスの方ってもしかしていらっしゃいます?
(挙手があったようで、会場内が一斉に笑う)
仲谷:いらっしゃ、いらっしゃるんですかね。じゃ、市民ホールサービスさんがいらっしゃらない前提で話しますけど。
では、もしいらっしゃったときは、これは違うぞ、とあるでしょうから、アンケートに書いていただいて、第4部でまたそういう話もできれば、と思っております。じゃ、市民ホールサービスさんの方が「いらっしゃらない」という設定で進めさせていただきます。後藤さんどうぞ。
後藤:なので、裏方の方がいらっしゃらないから、結構やりたい放題、というか、悪いことをやってるつもりはないんですよ。
仲谷:キャビンホールではですね。
後藤:そうです、だけれども、キャビンホールから1回出て、高宮のアミカスに行ったことがあるんですよ。アミカスも市民ホールサービスさんが小屋付きだったんですよね。えっと、時にはやさしく丁寧にしてもらったんですけど、やっぱりわからないから私が失礼なことをたくさんしているのでしょう。あのホールの上で、ベニヤもしかずにパンチをひいたりだとか、そんなことが。いま思えば。さすがにざっくりじゅうたんを傷つけるようなことはさすがにですね。それは人として気づくからやってないですよ。それとか、そでがせまいんですよね、アミカス。だからわざわざ狭いほうのそでに「ものを置かないでください」と書いてなくても、気づく人は気づきます、よね。でも、私たちは気づかなかった。
仲谷:何があったんですか
後藤:そでがせまくって、早着替えがめちゃめちゃあった芝居で。「Dear dear」(座”K2T3)をやったんです。
荒巻:ああ
後藤:で、早着替えがあって、ちょうどいい具合にピアノがあって、そこで、たしかあのときは「ものを置かないで下さい」の紙が、なかった。で、そのあたりに、いっぱい衣装などを置いて、その日は帰りました。そして、次の日そこにいったら、置いてたものが全部下にざーっと落とされていたわけ。置いたっていうよりは、ざーっと落とされた感じ、で、ピアノの上に「ものを置かないで下さい」で、ハッって。前日の、作業のときも怒られてるしね。
仲谷:ええ。ええ。
後藤:「ちくしょー、嫌われたー」と思ってですね。今思うとほんと申し訳ないなーと思うわけです。で、山内さんとかと謙虚なキモチで。
仲谷:ただ、われわれは本当にそこで教育されているんですね。
後藤:そう、そうですね。
仲谷:えー、無理やり甘棠館の話をここにいれると・・・・・・。甘棠館をつくるときとか運営するときには、どこかで反面教師というと言い方が悪いんですけど、そうやって厳しい指導をしていただいたんで、逆に僕らは「わからないことをわからなくて当然」と。アマチュアの方が使っていただいて、「知らなくて当然」ということで、運営をやっているんですね。そしたら、平台は傷ついとるわ、ステージにくぎはうたれとるわで、そういうことをやってみて、ああ、大切だなって勉強するわけで。私たちはそういう世代ですよ。
仲谷:どうでしょう。好きとか嫌いとかじゃなくて、どういうホールを求めているのか。
荒巻:今でもそうだと思うんですが、やっぱりお芝居やるにあたって、客席ぐらいのキャパシティというのがまずは結構大事なわけで。
仲谷:キャパの問題ねー。
荒巻:うちらがお芝居やってて、やっぱり100って、100人くらいのキャパシティのホールってのが、ま、当時キャビンホールとかぐらいしかなかったんですよね。夢工房に無理無理つめて100人とかそんな状況だった。
仲谷:つまり、演劇をやる場合っていうのが、400人のキャパのところで1回だとさびしいし、100くらいのキャパだと3ステージ4ステージできるってのはありますよね。
後藤:100とかだと・・・・・・、今、これ80席くらい?ですよね。100だと近いから、一体感みたいなのが感じられて、自分たちがやってる芝居にちょうどいいというか。
山内:ステージの数が増えれば増えるほど、お客さんもこの日は都合が悪いけど、この日ならこれるとか、選べるというのが、やっぱり決定的で、これくらいのキャパで回数を重ねて客数を増やすというのが一番いいな、と私は思っていますね。
仲谷:あー、それだと確かに、東京で1ヶ月やれる劇団が、大阪で1週間で、福岡は3日間でやっても入ってないという現状があるわけじゃないですか。そう思うと、ぼくらはもうちょっと頑張って、たくさんの人にみてもらうような環境が整うと、もっとキャパも増やせるんじゃないかなとか、その背景には、100じゃ採算が合わないという、これは設立10年のかたがたとは違う、おっちゃん感覚がありまして(笑)。
やっぱり、キャパ200、300でないと俳優の人件費などの予算のが作れないとか、そういう風に思ったりしているんですけども、それはちょっとしゃべりすぎですか?
後藤:いやいやいやいや。確かに、申し訳ないことに、劇団をやっていたときには、俳優の人件費って、なかった・・・・・・頭の中に。
仲谷:もちろん、そうでしょうけどね。
後藤:照明さん、委託しているスタッフさんとかに、かかる経費、制作にかかる経費くらいで。それでもカツカツだったですね。それを広げてお客さんが増えていけばいいな、というところでですね。キャビンホールが100とか、120とかなんですよ。で、客席がフラットだったんです。あのキャパでお客さんがちゃんと前でやっているものをなるべく見づらくてあきらめる状態じゃなくて、ちゃんとみれる、それで見れなかったから面白くなかったじゃなくて、見てもらって、面白かったか面白くなかったかをちゃんとわかってもらう、それがここですよ。
仲谷:では、話をそちらにうつしてみますかね。私たちは作り手側ですけれども、お客様にとっていい劇場とはどうなのかなという。確かに、このキャパで見にくいところって多分ないですよね?
後藤:今、皆さんの顔が見えますよね。
仲谷:今頭の中をよぎったのは、なぜ甘棠館は使われていなないかというと・・・・・・そういうことでしょうね。
後藤:ちょっとだけ、かぶりますもんね。ほんの少しだけ。
山内:ほんの少し。
後藤:あたまが。
仲谷:かぶりますもんね。
後藤:ほんの少しだけですよ。でも、見えますよ甘棠館。キャビンはほんとみえなかった。
仲谷:じゃなんで、小林くんなんでつかわんの(笑)?お客様にとって、見やすい劇場っていうのはひとつやっぱ意味がありますよね?
後藤:私は客で観てて思う。
仲谷:そういう意味では、例えば、山内さん、どんな劇場が、お客様にとっていい劇場と思われますか?
山内:お客様にとって。お客様にとってというか、私にとって?あ、客としてのですよ。
仲谷:お客として。
山内:いいなと思うのは、もちろん小屋の中もそうなんですけど、ロビー。ロビーってのを気にしちゃいますね。
仲谷:ああー。
山内:トイレがちゃんとあるかとか。
仲谷:ああー。やっぱ女性ですね。そう意味では、博多座は商業演劇ができる劇場としては、すっごくいいですよね。新橋演舞場とか芝居見に行っても、ほんとにロビーのスペースとか狭いじゃないですか。物販のスペースも狭いし。大阪の小屋にいっても、そうですよね。御園座いってもそうですし。博多座っていうのはやっぱり、土地代もあるんですかね?東京大阪から見ると、わりとゆとりのある、いい空間だな、ロビーだなーと思ったりするんですけど、その辺りどうです?
荒巻:あそこはいろいろと考えた、後発。劇場として一番最近できたものなので、その辺を含めた感じはあるんでしょうね。
仲谷:ちゃんとそういうお客様のことを考えてるっていうのはあるんでしょうね。既存の他の劇場ではありますか?荒巻さんが感じる劇場ってあります?お客さんにとっていいなーって思う。
荒巻:さっきのトイレの話でいいますと、すいませんちょっと脱線しますが。
仲谷:脱線?
荒巻:夢工房がですね、ははは。どーしてもこだわるけど、トイレが舞台の上手側にあるんですけど。舞台通っていかないと入れないんですよね、トイレに。だから、本番前に行っておかないとダメだっていう。ちゃんと案内係がいて、とかやってましたね。
後藤:袖に一回お客さんが入ってくるんです。もうスタンバイとかしとるとこに、お客さんがこう、入ってくる。
仲谷:何より、お客様と役者も同じトイレ使うんでしょ?
荒巻:もう、そこしかないですからね。
仲谷:甘棠館もそうなんですよね。しかも一回劇場から出なきゃいけない。出なきゃいけないんで、お客様がこう並んでるところに、役者が出て行かなきゃいけなかったりとか、するんですよ。うちが「好色一代女」っていう一人芝居をやってて、原岡梨恵子っていう役者がやったお芝居なんですけども。ずーっとその好色一代女のお栄さんの衣装を着て、カツラまで全部つけてですよ、出番前に、トイレに行くわけですよ。お客様の間を通って。どんな現象が起きるかというと、お客様の方が気を遣って、見ないようにしてましたから(笑)。優しいなあと思って。でもどうなんでしょう。他にもお客様にとっていいホールっていうと。
後藤:はい!つい最近、皆さん知らないかもしれないですけど、すごく立地のいいところに新しいホールが。
仲谷:新しいホール?
後藤:前からあったんですけどね。お芝居の小屋としては使われてなかったと。ベスト電器の一番上に、ベストホールっていう小屋があって。今、アクティブハカタさんが管理とかされてるんですね。パピオビールームのホールくらいの広さなんですね。古いけど、音響卓とか照明卓とかもちゃんとあって。徐々にお芝居としてもつかわれてきていて、じゃん!(チラシを出す。)
仲谷:なんだ~?いいのか~、告知ぃ~。
後藤:先ほど一部でですね、散々小林君がビジュアルアーツがビジュアルアーツがといってましたけど、ビジュアルアーツは夏と冬に公演をしていて、去年の卒業公演から、ベストホールを使ってやっているんです。これ無料公演ですので、ベストホールってどんな感じの小屋かな?自分たちも使えるかな?とか、新しいお芝居を開拓しようかなと思ったら、劇場の下見がてらいらっしゃるといいかなと。
仲谷:ベストホールは、実はベスト電器の本店さんができた時に、最初作ってたんですね、使ってたんですね。僕、ショーマンシップが旗揚げベストホールで、あの時はとても理解のある、店長さんがいらっしゃって、借していただいただけじゃなくて、貸切で、買い取ってもらって、ワンステージとかお客様を招待で、でやってもらったりしてましたね。今思うとね、すっごくいいホールだったんですけどね、皆さんご存知のようにベスト電器さんも、大型量販店とかが色々出て、大変な状態で。まあ、いやそんなことどうでもいいですね。そうなると、ちょっと話聞くと、企業の応援とかについては、今日の話題ではありませんけど、どんな風に考えてます?山内さんとか。
山内:企業の応援。
仲谷:僕らは例えば劇団で公演をやる場合に、スポンサーシップがないと公演が成り立たないような状態で、お客様からいただくチケット収入だけで芝居を作ろうと思うと、満足な舞台がつくれないような状況とかもあるんで。
山内:やる小屋が大きくなると、ちょっと難しくなるなとは思うんですけど。一昨年ぐらいからやっぱりうちも、企業さんに企画書を提出して、後援していただけないかとか、協賛していただけないかとかいう動きはするようになりましたね。まだちょっと、どうやったらうまくいくのかわからないですけど。
仲谷:そのへんあたりがね、世の中の動きでいうと、いま劇場法っていうのが、平田オリザさんが提唱している状態になるんですかね。
荒巻:そうですね。
仲谷:劇場単位に対して、助成がおりたりとか。劇場を中心とした創造に対する支援みたいなことがこれから行われていく、かな~、と僕は思うんですけど。その中で、そういう文化庁とかお役所さんが思ういい劇場とはなんなのか、ということになっていくと思うんですよ。どなんですかね?そういう意味での、助成を受けやすいとか、サポートを受けやすい意味でのいい劇場ってのは、荒巻さん。
荒巻:でも、どう、ですかね。お芝居とかでいうと、難しいところで、表現の自由みたいなものっていうのがやっぱあって、そこに協賛みたいな、スポンサーとか、確かに山内さんとことか、芝居の演目にあった即した協賛の取り方とかされてるから。やっぱそれで、何か協力があることで、そこに気を遣うとか、そういうことで表現が曲げられるとかになると、ちょっとややこしい話とかになっちゃうところは、側面はありますね、やっぱり。
仲谷:後藤さんどうですか?あんまりこだわりないでしょうね?
後藤:あんまり考えてないです。すいません。でも、わかるとこ・・・・・・どんな話の振り方でしたっけ?
仲谷:聞いてなかったか。
後藤:聞いてるんです、聞いてるんですけど、劇場法ができて・・・・・・。
仲谷:まあ、つまり、サポートを受けやすい。
後藤:受けやすい劇場。
仲谷:あるいは、そのあり方。
後藤:あり方。サポートを受けやすい。どうなんですかね?助成する側は。
仲谷:僕がいま掴んでいる情報だけでいうと、そこにちゃんと創造団体が根付いているか、フランチャイズとして使っているか、そして、専門職のプロデューサがいるかとか、芸術監督がいるかとかいうようなことですから、悪いことではないと思っているんです。ところが、まったくそういうようなところでなく、若い集団が何かやる時に、というか各公演単位のサポートというのは、これからはしませんよみたいにも読み取れるんですよ。公演単位ではなく、そういうようなちゃんとそのあとやることによって色んなものが地域に残る、そういう劇場ではサポートしましょう。という風な読み取り方をしちゃうようなところもあって。
荒巻:どっちかっていうと、劇場でプロデュースしていくような、
仲谷:流れにね、
荒巻:感じですよね。
仲谷:なっとるのかなと思ったりすると。甘棠館あたりというのは、我々は唐人町商店街に根付いておりますので、みたいなことをものすごく売りにするんですよね。ぽんプラザホールで言いますと、やっぱり若い劇団やら今から芽が出そうな他の地域からの劇団みたいなものの、場所になるのかなと思ったりもしてるんですけどね。
後藤:それで、いい劇場でしょう。
仲谷:何をもっていい劇場かと言うと。だから、今ある意味そういうプロデューサーがいる劇場とかなってくると、民間がもっとがんばらないといけないところもあるような気もしていたりとか、NPO法人で運営していますという、そういうところが、もっとがんばんないといけなかったりとかするのかな、とも思うんですよね。つまり、行政が出してる劇場には、そういう箱は作っているけども、本当のプロデューサーがいるかと言うとそうではなくって、みなさん人事異動で次の場所へいったりとかしますから、そういうようなホールとしてのあり方は今から変わっていくんではないかなと、僕は思ってますし、それに対応していかないと、地域の劇団として、地域でものを作っている人間として、そういう動きは対応していくべきではないかなと思ったりしています。はい、司会が長くしゃべりすぎました。
後藤:勉強しました、今。
荒巻:僕らの世代っていったらあれですけど、で言うと、イムズホールっていうのがあって、イムズ芝居っていうのが10年間あってて、やっぱり、それはなんか、劇団によっては、そんなの関係ねえやとか、アンチな人間もいたけど、まあ、それも裏返しで、やっぱりすごく励みとか、ステータスとかにはなってたっていいますか。そういうあり方もありますね、企業の。
仲谷:確かに、もちろんあのイムズという商業ビルがあって、そのプロパガンダにもなったかもしれないけども、あの時期にイムズ芝居っていうのは、我々の世代はかなり、後藤さんなんかも。
後藤:多分ど真ん中ですよね。
仲谷:そうですね。
山内:そうですよね。
仲谷:幻想舞台が最初に、イムズで。
後藤:いいや、大分の、立見席って劇団なんですよ。
仲谷:立見席?
後藤:あ、今笑い声が、聞こえましたけど。知ってらっしゃる方が。
仲谷:後藤さんはなんかイムズでもらわなかったですか。
後藤:いやいや、もうね、もらえなくってね、悔しく・・・・・・あ!あ、もらいました。
仲谷:あなたなんかもらってたでしょう。
後藤:賞をもらいました。でもイムズホール出れなかったですもん。出れなかったから、や、なんか、やっぱ若かったからですよ。出れなかったから、いらないよっ!こんなの!って思ってました。出たい。出たかったですね。戯曲賞とか演出賞とかいらないから、あそこに立たせてくれと。
仲谷:山内さんイムズ辺りは。
山内:いや全く。
仲谷:かすってない?
後藤:あんまり興味なかったでしょう?
山内:興味なかったほうです。その頃はですね。
仲谷:そのあと、でも劇場の話に戻すと、そういう意味で言うと、西鉄ホールができたのいつなんですかね?
荒巻:西鉄ホールが、資料によると、ぽんプラザホールの1年くらい前にできてますかね。
仲谷:そうか、じゃあ11年くらい。西鉄ホールが、その後どっか地域の劇団にとっては、まあ、ひとつのこう、下北沢でいうところの本多劇場的な。
後藤:ステップアップの場所に。
仲谷:場所にはなりましたよね。
荒巻:今はですね。
仲谷:西鉄ホールさんっていうのも、あそこは割とこう、劇場がプロデュースする空気はありましたよね。
山内:そうですね。プロデュースありましたよね。
仲谷:PA!ZOO!!もやってるんですよね。
山内:はい、やってますね。 2回くらい。
仲谷:それはどんな話。どういう。
山内:あ、3回か、ごめんなさい。すいません。
仲谷:あの、質問は受け付けませんけどツッコミはOKですので。たぶん、僕らもいくつか間違ったことを、数字には弱いほうなので、言ってるので、そしたらすぐツッコンでください。えー、3回。
山内:はい、しました。え、あと、なんですっけ。
仲谷:え、例えば西鉄ホールのよさというか。
山内:ああ。そうですね、あそこは小屋付の方も、スタッフの方もいらっしゃいますし、制作、プロデューサーが、スタッフとしていらっしゃる、というところが強みで。小屋の方が、もちろん制作面での直接チケットを売ったり、チラシ等を配布してくださったり、そういうことも、サポートしてくださったり。それが始めてで。非常にこう、プロですよね。そのへんで、勉強になりました。
仲谷:通常に芝居打つのとどのくらい数字が伸びました?
山内:数字弱いんでですね。
仲谷:すいません、劇団の方もし、なんかあったら、ツッコミ。
山内:どのくらい?・・・・・。5パーくらいかな?
仲谷:おおざっぱやなー。
山内:5パーくらいで。
仲谷:でもね、荒巻さん。劇場にプロデューサーがいるっていうのは、今からの福岡にとっても必要なことですよね。
荒巻:そうですね。やっぱり、ね、東京でももちろんそういうところね、世田谷パブリックシアター辺りとか、もっと色んな小屋がありますけど。西鉄ホールのサポートの仕方っていうのは一つ、なんか、すごく、福岡で芝居をやってる人間にとっては、なんか嬉しいありかたではありますよね。
仲谷:特に、劇場が招へいしてくる東京・大阪の劇団のクオリティも決して悪くないし、そこに地域の劇団も同じ、まあ同じかどうかはわかりませんよ、ほぼ同じような扱いでしてくれる、そして宣伝してくれる、っていうのは、何かの底上げにはきっとなってますよね。後藤さんどうですか?後藤さんところは西鉄ホール・・・・・・。
後藤:やってないです、やってないです。1回も。
仲谷:一回もやってないんですか。なんでやらないんですか。
後藤:やらないんですかって、あの、高いですよ。
仲谷:値段の問題に移りますか?
後藤:でも値段は、
山内:おっきいですよね。
後藤:おっきいですよ。
山内:おっきいです。
後藤:そうですよね。脱線しますけど。男性の主催の方はあまり金に糸目をつけないというか、借金してもいいよくらいの感じで、そして続かなくなって、潰れる。
仲谷:おかしいぞー。
後藤:女性の主催のところって、結構、赤字出すけどそんな、思いっきりこう何でもやりたいことのためにつぎ込めみたいなところはないから、ちょっと締めるので、続くと。
山内:ああ、なるほどなるほど。
荒巻:性別の差なの?
後藤:え、どっちだろ性格ですね。女性の方がそういとこ、そういう性格の人の方が多いという、あれですね。
仲谷:じゃあいくらが、劇場費にかけられる、パーセンテージとか金額とか、それの話ちょっとやってみますか。そうか、そうなると、荒巻さんとかそっち側じゃないんで。
山内:貰う方ですよね。
荒巻:違いますけど。まあ、僕はその中のパーセンテージ占め、何割くださいってやってる方なんで、ちょっと難しいんですけど。でもどうなんですかね、劇場費っていうか、全体の予算とかあるとして、劇団運営的に、何パーぐらいが劇場費とかっていうことになるんですかね。
後藤:1~2割とか、ですかね。
山内:1割ですね。
仲谷:1割かな。少なくとも、ハードの部分は切れないでしょう。例えば照明とかは、荒巻さんに、安くしてくださいとかってことはありだけど、劇場ってそうはいかないと。
後藤:まあ、そうですね。
山内:そうですね。
仲谷:なっちゃうんで。じゃあズバリ、キャパ120位でいくら位までだったら出せますか。はい、後藤さんから。
後藤:3日で10万ちょいです。金土日で10万ちょっと。
仲谷:山内さんは?
山内:そのくらいですね、私も。10万ないしは、18万まで?がんばってみようかなぐらいで。
仲谷:どうですか?劇場に、それくらいの3ステージ3日間で10万か18万出す劇団からは、照明としてはいくら持っていきたいですか?
荒巻:計算しにくいっすね。動員予定数とチケット代との、掛け算やって、その中の何割どうするかっていう話になってくるからですね。で、その中のうちどれくらいっていう。まあ、劇場費よりはちょっと高い金額で。
仲谷:高いんですか?
山内:劇場費よりはですね。
後藤:劇場費よりは高いですよね?照明さんですから。持ち込んだりとかもしますもんね。
仲谷:あー。じゃあ、予算の中で一番占めているものってなんなんですか?後藤さんところで。今までやってきた中で。
後藤:えーと、なんでしょうか。・・・・・・・・・1番占めているもの。でも委託料が大きいのかなあ。
仲谷:委託料って何ですか?
後藤:あの、音響照明の。
仲谷:あー、そっかー。山内さんとこは?
山内:テクニカル部分でかかるお金ですかね。
仲谷:あー。荒巻さん立場ないっすねー(笑)。
山内:でも、それはやっぱり。
仲谷:演劇をどんどん広げていくためには、そっち側の人たちの協力をもっと仰がなきゃいけないですね。
山内:でも、技術職、その専門職なんで、それでこう、あまり高いなとは思ったりしませんけどね。
仲谷:え、けれども僕は一応俳優という立場で劇団を運営しようと思ったきっかけというのが、現場に行くといつも俳優が、その他大勢というか烏合のなんて言うんですかね。人材じゃなくて人手として扱われてきたっていう。若い頃に昔いた劇団に、存在しているというよりも、割とこうポジションとして下に見られていた、というようなことを肌で感じたので、俳優というのも専門なんだと、演じることも専門職なんだっていうことで、そういう地位の向上みたいなもので、劇団の理念としてやっていったんですけども。そしたら、劇団がちょっとかたくなりましてね。でも理念としては持っているんですけども。そういうところでは、感じないですか?
後藤:私はそれ相当感じてますね。仲谷さんみたいに、色んなことやってがんばってはないけど、同じ専門職じゃないかと思うんですよ。で、だから私は役者さんが、スタッフさんにすっごくヘコヘコしてるのが、って、しなきゃいけない環境というのが、ただでもそれは、スタッフさんのがうまいんだと思うんですよ。だから、スタッフさんの方が自分たちの地位向上のために、いろんなことをやってきているんだと思うんです。
山内:うん。
後藤:ね。で、スタッフさんはだってある程度の技術がないと、一緒にものは作れないけど、役者って、どうかすると・・・・・・。
仲谷:ま、つまり、あした役者になるったって、なれる仕事ですからね。
後藤:はい。
仲谷:いきなり舞台のっちゃたら役者ですから。で、以外にその基本的なことができてない役者がお客様にうけたりするんですよね。
山内:うん。
後藤:うん。
仲谷:これがー。ここがまた難しい。
山内:難しい。
後藤:だからあれですかね、地位の向上がどうのこうのっていうのは、それは難しい。難しいなって思ったりしつつ。
仲谷:僕も思う。だから、そろそろ話しをね、ちゃんとこう1回持って行かなきゃいけないと思うと。じゃあ、俳優ていう立場が何をしなきゃいけないかというと、やっぱり、お客さんに来ていただけるような存在であることかなと僕なんかは考えていて、それはノルマで切符を売るんではなくて、その人の演技をみたいから、お客様が来ると、いうようなことが、福岡の演劇事情、演劇状況のなかにも今からできていくといいのではないかなと思ったりなんかしているんですけども。そういうことについては裏方代表としてはどうですか?
荒巻:その通りだと思います。まあ、で、それに伴っていい劇場、あるといいですね、て勝手、なんか無理やり。でもこの、僕、どれくらい?10何年かみてて、だいぶ状況は、まあ無理やりからめて、劇場も含め、環境っていうのはものすごく良くなっていると思う。環境は。ただ、それに、その劇団とか、そういう単位で、それに、なんか利用とか、まあそれにのっかってあがってるかというと、それはできてなく、ないんじゃないか。環境に比べて、まだ、もうちょっとうまくやれる方法っていうのがあるんじゃないかなっていうのは。
仲谷:まあ我々の世代で言うと、我々が芝居を始めたときに、社会的ポジションはありませんでしたもんね。福岡の劇団というのは、好きな人が好きなことやってるサークルっていう目線だったですよね。
後藤:そうですね、でも今でもそうじゃないですか。
仲谷:え?
後藤:違いますか?芝居やってる人は、好きなことやってるんでしょっ、みたいなところがないですか?
山内:そう、そうですね。仕事しながらやってたりすると、まあでも趣味でしょうっていう言われますね。
仲谷:あー。そこは我々が今からこう、戦っていかなきゃいけない、こう、課題というか、その生活費をそこで生んでいなかったとしても、お客様からお金をいただいている以上、きちんと専門職としての作り手であるというような空気感を、こうやっていきたいなと。思うんですけども。
後藤:ほんと、それが望ましいけれどなかなかそうなっていない、ですよね。
仲谷:なっていない原因はどこにあるんでしょう?
後藤:だから、自分のことを言えば、自分が納得できるだけの面白い芝居を作り続けられていないという、ところなんだと。まあ、その劇場は、さっきステップアップの話に、ぽんプラザホールがあって使えて、じゃあ次1回で200~300人集まるところでやってとかいって、ステップアップの構造があると、燃えるし、燃えるんですけど。でもですね、本当はそっちに持っていかないといけないんですけどね。でもしょせんは、作ってる人の心の、どんなにちっちゃな小屋であろうと、観客、お客さんに、見やすい状況、感じを提供して、観やすいというか、自分が観せたい雰囲気の客席というか、空間を提供して、面白い芝居を作れてなかったら、例えば300人だったのが、1,000人になったからっていって、なんかむなしくはないですか?数だけ伸びてる感。で、劇場だけ大きな方にきてる。それをやってる人は気づいてると思うんですよね。1個の目標をクリアしたというところではですね、もちろんその大変なあれだけど。
仲谷:つまり、創造に関してどのものさしで評価するかっていうのは、ものすごく難しいですからね。だから、1つの作品に対して、いいって言う人が入れば絶対そうでないって意見もあるし、両方をきちんと聞けるだけの、劇評とかそういうものが我々の前にいっぱいあるかというと、そんなに数がないから。誰かが一言悪いことをいっちゃったら、もう全部悪いみたいな空気になっちゃう怖さがまだこの福岡に、劇を評されるときの怖さってのはやっぱりありますよね。
後藤・山内:うーん。
仲谷:山内さんもそう感じます?
山内:そうですね、なんか、自分とこは仕事しながらお芝居をやっているので、ま、多分二足のわらじになってしまうんですけども、お芝居自体をお客様からお金をいただく、その時点でプロとかアマとか関係ない専門職だっていうのは、そうだなって思います。ただその、うちの劇団で一番思っているのは、じゃあお客様からお金をいただくときに、お客様がどういう心持で出して、お金をくださるか、あ、ここだったら楽しめるとか、これだったらだせるとか、そのお客様それぞれ違うと思うんですよね。なので、その全てをいただいた上で、それをどうお客様へ返していくかっていう部分で、気持ち的なプロフェッショナルを目指していきたいなとは思っていますね。絶対、ステップではないですけど、甘えない、お客さんに見せるものとしては、絶対甘えたくないなとは思ってますね。
仲谷:我々つくっている立場としては、そういう意識ではたしかにありますね。難しいのはその意識が形になかなかなりにくいっていうところもあって、そこを思うと、後藤さんの意見とはちょっと違うんですけど、こういう劇場による形によるステップアップというか、いままでここにいた劇団が、次ここに行ったぞ、とかっていうのは、わかりやすくはあるかなという気はするんですけどね。
荒巻:お客様からみた感覚っていうと、やっぱりそれはわかりやすい、ですよね、まあ立派なホールで、例えば前ちいさなところで観たお客様がリピーターとして来て、次ちょっと大きいホールで、客席で、とかっていう、じゃあこれからお金もいっぱい払うとかっていうステップアップとかっていう側面から観ると、大事なとこはありますよね。
仲谷:今日はこのぽんプラザホールの10周年ということの中での、パネルトークですから、そういう意味で言うとぽんプラザホールっていうものは、この福岡の演劇界の中の、その割と入り口に近い所にあって、しかもそれがとても使いやすくやさしい場所にあると思うんですけど、それについてはどうですか?
後藤:まさしくその通りだと。機能的なとこも地の利的なとこも。あ、私、ブログにも書いたんですけど、このぽんプラザホールの名前を決める会議に出席したんです。
仲谷:え?
後藤:10年前。
仲谷:でもこれ、あれだったんじゃないですか?公募だったんじゃないですか?
後藤:公募でいっぱい集まってきた中から、いくつか残って、それで意見をかわしていくんですよ。これはこうだから、こだからっていって。
仲谷:じゃあぽんプラザホール以外で没になったのってどんなのが。
後藤:ありますあります。でも、もう、だから忘れたんです、残念。
仲谷:そこでしょう、今欲しいのは。
後藤:結局、一番当たり前のやつが通りました。ポンプ場の上にあるから、ぽんプラザっていう。
仲谷:そうか。
後藤:その時に、私ぽんプラザじゃない方がよかったんですね。ほんとはですね、ごめんなさい。
山内:それを覚えてないんですか。
後藤:覚えてない。なんでかって言ったら、ぽんプラザって、なんかの、健やかクラブみたいな、こう、劇場じゃないっぽい感じじゃないですか。表に多分出るだろうし、なんとかかんとかって建物の名前が出るだろうし、その時に劇場があることがわかるようにしたいぃーっ!って、言ってたんですけどね。ご覧の通り、説得力とか、知的な感じじゃないもので。
仲谷:ええ、感覚的な感じですもんね。
荒巻:なんでそもそもそこに呼ばれたんでしょうね。
仲谷:なんで呼ばれたの?
後藤:知りません。呼んでいただきましたね。あ、それで、忘れないうちに喋っていいですか?いいですか?しゃべって。
仲谷:はい、はい。
後藤:話がですね、ごめんなさい、きれいに話そうとしてるのに。思いだしたことをパッというと。いい劇場。東京公演したじゃないですか、荒巻さん。座”K2T3で。
荒巻:はい、はい。
後藤:あの時に、駅前劇場ってすっごいぼろいちっちゃい劇場なんですけど、でも、ステータスって、上っちゃんね?
荒巻:そう。
後藤:うん、上なんですよね。空いていても、劇団がちゃんとしてないとっていうか、使わせる劇団と、使わせられない劇団っていうのがあって、おそらくそこは、制作がしっかりしてればっていうことなんでしょうね。
荒巻:ですね、本多劇場系列。
仲谷:本多劇場系列ですよね、全部。
後藤:それで、一緒に前やってた小島が飛び込みで、行ったんだけど、制作がしっかりしていて大丈夫ってことで使わさせてもらって、それはなんかね一個認められた気がしたんです劇団として。なので、さっきプロデューサーが劇場に付くつかないの話をされてあったじゃないですか。この劇場を誰にでも貸しますよとかじゃなくって、そのプロデューサーさんのポリシーみたいなものがあって、いくら動員があっても、・・・・・・ちょっと認められないなあ。
仲谷:まあ、言いにくいけれども、まあ、そのままそういう意味ですよね。
後藤:はい、はい。
仲谷:それは、うん、でも、それは1つの劇場がそうだと問題かもしれないけど、たくさん劇場があれば、ここでは認められないけれど、ここでは認められるというのがきっとでてきますからね。
後藤:はいはい。
荒巻:しかもやっぱり、そういうのってやっぱり、なんですか、企業とか個人というか、公営ではできない、ですよね。公共施設としてはできないですよね。
仲谷:大阪の劇場の、なんだっけ大阪にあった。インディペンデントシアターってところで一番魅力を感じたのは、泊まっていいんですよね、劇場に。
後藤:あー。
山内:えー、泊まっていいんですか。
仲谷:すると、地方から来た劇団っていうのは使いやすいし、仕込みさえもある意味徹夜で出来るっていうのは魅力ですよね。
荒巻:そういうところありますね。あのー、タイニイアリスって新宿に、新宿2丁目の、にあるんですけど。まず鍵渡されるんです。入口の鍵。だから、もう、もう好きに。入るのも、帰るのも、勝手ですって。
仲谷:そりゃいいですよね。シアター711っていう本多劇場系で、いちばん新しく出来た劇場を使わせてもらった時に感じたのは、狭い空間の中、物の置き方とかすごく上手なのも感動したのと、あと僕らが芝居終わった後、次誰がやるのかなーと思ったら、TMNのキネさん?あのー、TMNってわかりますかね?TMネットワーク、あの一人捕まってね最近、あのー、もう更生してね、いまあの名古屋にいらっしゃいますけど。その方が、普通に発表の場として使って、その後は坂上忍君が、テレビタレントっぽい人が普通に演劇やってという。それをそのキャパを70とか80のところで、やっぱやってるんだなーっていうのは、もちろん僕らは東京志向、東京行けばいいと思ってないからこっちでやってるんだけど、そういうような回転の仕方を一つの劇場がしてるんだなーというのは、すごく刺激にもなって。ただ、それこそ、甘棠館に携わっている人間として言うと、ぜーんぶ役に立てたいと思って帰って来たんだけど、いざ、泊まらせようとしたら、火事の問題どうするんだと、じゃあ鍵を渡したいんだけど、もし盗難があったらどうすんだとか、一晩中使える劇場にしたいんだけど、上が民家だからどうするかとか、思うと、やっぱりそうはできない現状があるんですよねー。
荒巻:ああいうやっぱり、中にある施設ですからね、やっぱり。
仲谷:うーん。
荒巻:それだけじゃない、ですもんね。ハコが。
仲谷:そうなってくると、これ第2部をここで無理やりまとめようとすると、やっぱり誰か大金持ちが、どうにでもしていい劇場を作ってもらうしかないみたいな空気になってますけど。このまとめだと、今日の企画としてまずいと思うんで。(笑)
仲谷:どうでしょうね、今後我々が、今度は作り手として、観客論とか、プロデューサー論とか論じてきました。作り手として、劇場に求めていくこと、あるいは、この劇場のこういうところが作りてとしてよかったよ、みたいなところを、ひとつずつ話して行きましょうか。荒巻さん、お願いします。
荒巻:この話の中で出てきた、理想は、さっき言ったような金持ちとか個人とかっていうレベルで、ものすごくみなさん、みんなが、やり手も観る側も認めているような、目がある人が、プロデューサーとして劇場にいて、チョイスするとかっていうシステムが、仲谷さんが言われたように、いくつかあるっていう町っていうことになると、すごくこう進歩になりますよね。でもやっぱりどうしても、ぽんプラザホールってすごくいいホールだと思うし、名前の話しましたけど、ここが2000年にできてて、96年、ここができるちょうど4年前に、このホールどうしようって打ち合わせを市役所でやったりしたということがあって、トイレとか、どうしようか、だから、ものすごく思い入れがあるんですけど、ただ、ぽんプラザホールにものすごく集中している状況ってのは、中堅とか、旗揚げとかも、全部ここでやってるっていうのは、なんとかならないのかなって思いますね。
仲谷:なるほどね、やっぱりいくつか競争していく、一緒にってのが大事ですよね。山内さんどうですか?作り手として、こういう劇場がほしいとか、こういうところがよかったとか、その辺とか含めて。
山内:そうですね。全く頭の悪い、回答で申し訳ないんですけども。西鉄ホールさんに神棚があるんですよ。初めて入って、おー!って、なんかこう、小屋に神棚があるってすごいなって思って。お参りしたんですけど、なんか、そう、昔ながらの、よき所を残している劇場がもう少しあっていいんじゃないかなーと、なんていうんですかね、なんかこうやっぱり、いまどきのこう、若い子たちが使うっていうのもありますけども、年齢があがってくると、そういうのも神頼み的なものもしていきたいなと思っているので。
仲谷:確かにね、何が起こるかわからないのが本番ですからね。ま、祈りますもんね、我々ね。
山内:そういうのもちょっと、とりいれていただきたいなとか思ってます。はい、すみません。
仲谷:さあ後藤さん、残すところあと一個なんですけど。
後藤:キャビンホールを良く使ってたって話をしましたけど、
キャビンホールはこんなに見やすくなかった。けれども、入口から、道路からですね、何かをやってるんだという空気が道路から感じられたんですね。で、なので、キャビンホールと同じように全体に使われているこのぽんプラザホールがですね、見やすいこの客席で、でも1階に降りても、2階の入り口も、でも難しいかもしれない、ポンプ場の施設をつかってるからですね、何があってるかめちゃくちゃ有名な劇団がきていたところで、人で賑わってる感がない。なので、これが色んなところが、色んな事を許していただいて、協力していただけて、「ここに劇場あり」みたいなことになっていくと、もっと嬉しいなと思うのと、こういうところがまたいっぱいできると、とても嬉しいなと思います。いろんなカラーの、ここはここを大事にしよう、こうでないとうちの小屋は、あそっか、ダメでしたね。民間じゃないとだめでした。お客さんがみれたらいいなと思います。
仲谷:後藤さんがおっしゃったようなことを最初に始めたのがこの次の3部のブロックに出てくる、こすぎさんであったり、佐藤さんであったり、夢工房の石川先生であったり、その演劇活動イコールその劇場活動、そして地域との結びつき、地域の活性化に役に立つかどうかわからないけど、がんばってきた世代がこの後喋っていただけると思いますので。そこにゆだねて、真ん中の私たちは脱線ばっかりでしたけれども、なかよくこれからもがんばっていきたいと思います。どうもありがとうございました。