7/6~8で実施した、「オープンワークショップ~七夕演劇祭り~」。
初回は北九州より来ていただいた、のこされ劇場≡の市原幹也さんのワークショップでした。
市原さんのワークショップは、言葉ではなく、身体を使ってのコミュニケーションが中心の内容でした。
拍手を次の人へ回すというワークから始まり、どんどん言葉のないコミュニケーションの世界へ。
非言語で体全体から何かを発しようとすること、それを受け取ること、市原さんは「人間独自のセンサー」と表現されていました。
このセンサーを駆使するには集中力も必要です。
普段なかなか意識していない、言葉を使わないコミュニケーションを楽しんでいた様子でした。
前半の最後は、向いあった椅子に座った相手と言葉を使わずに仲良くなる、ということをしました。
言葉を使わないコミュニケーションは、単純にジェスチャーで表現することではありません。
ついついジェスチャーに頼ってしまいがちなことを市原さんに指摘されながら苦労しているようでしたが、
みなさん文字通り「身体」で何かをつかんだ様子でした。
後半は、無言劇の観賞。
一人ひとり違うタイトルが配られて、同じ無言劇を見ます。
無言劇は、二人の人物が向かいあって立ったり座ったりする内容。
鑑賞後、自分が持っていたタイトルと、その中で今の無言劇がどう見えたかを発表しました。
みんな同じシーンを見たにもかかわらず、どう見るかによってぜんぜん違った物語が展開されていたのが
印象深かったです。
受け取り手によって様々なストーリーが生まれるおもしろさ着目し、決まった見方やテーマを提示するのではなく、想像力で広がりを持つ表現を大切にしている、と市原さん。
あえて言葉を使わないことの意味や身体での表現の可能性が見えました。
ワークショップ2日目は福岡を拠点に活動する池田商会の皆さんが来てくれました。
劇団内にいくつものユニットがある池田商会らしく、ワークショップもコントあり、暗闇でのワークあり、時代劇ありと、バラエティ豊か内容でした。
池田商会のみなさんも楽しい方ばかりで、笑いの絶えない時間でした。
ストレッチや発声練習も真剣ながらも楽しい雰囲気。
ロングトーン選手権では音楽をしている参加者が池田商会の面々を抜いて堂々の1位!
発声のコツを伝授していました。
次はコントの時間。「こおりおに」でテンションを高めます。鬼決めじゃんけんもコント仕様。
全力を尽くしてじゃんけんする「全力じゃんけん」。
何事にも全力で取り組む姿がコントの笑いを生むのですね。
その後は暗闇でのワーク。ホラーの体験です。
暗闇の中で全身の感覚を研ぎ澄ませます。
視覚を使わない新鮮なワーク。相手も見えないので、自ら「○○、前進します!」など行動を声に出して相手に知らせることが重要です。
また、手探りでグループ力を合わせて並んだり、移動したので、なんだか仲良くなって連帯感が生まれていました。
最後は時代劇体験です。一人ひとりかっこよく名乗りをあげていきました。
その迫力たるや、後ずさりをしそうなものでした。
礼に始まり礼に終わる時代劇。こんな体験も演劇ならではですね!
最終日は、京都より下鴨車窓の田辺剛さんのワークショップです!
テキストを使ってはじめのワンシーンを繰り返しやってみながら、どのようにテキストから芝居(シーン)が立ち上がっていくのか、
をていねいに追っていくワークショップでした。
最初にテキストの背景や物語の内容の紹介があり、読み合わせ。
キャラクターを作らず、フラットに読むところから始まりました。
登場人物の位置関係、何のためにここにいるのか、何をしているのか、その時の心の状態など、
すこしづつ想像力を広げながら同じシーンを繰り返しやっていくことで、少しずつ変化していく演技がとても興味深かったです。
普段キャラクターを作づくりから芝居に入るようなやり方を中心にしている参加者にとっては、難しくもあり、新鮮なものだったようです。
キャラクターを作らないとはどういうことか、など質問が飛び交っていました。
登場人物は次に何が起こるかわからないけれど、俳優は繰り返し稽古していくので次に何が起こるかわかっている。
芝居の中でも、毎回初めて体験する感覚で演技していくことが大切ということが印象に残りました。
-----------------------------------------------------------------------------------------
3日間、連続で「普段の稽古や創作活動の中で大事にしていること」をワークショップで体験していきました。
演劇未経験者や、普段演劇活動をやっていない方の参加も多かった今回のワークショップ。
演劇との出会い、そして演劇を通して講師や年代の違う参加者との楽しい出会いの3日間になったことと思います。
実際に演劇を体験してみたことによって、これからお芝居を見るときにもまた違った見方が出来るかもしれませんね。
アンケートでは、
「普段年齢層の違う人と関わることがないのですごく貴重な体験でした。ワークショップの内容はとても深くて自分の物の見方が少し変わりました。(高校生)」
「色んな劇団の特色、雰囲気が見れて良かったです!!(20代)」
「ワークショップなるものに初めて参加させていただきました!とてもたのしくてびっくりしました。(30代)」
などの声が寄せられました。
今回は、北九州の市原さん、福岡の瀧本さんはじめ池田商会のみなさん、それから福岡出身で京都で活躍されている田辺さんに講師をしていただきました。みなさん九州に縁のあり、地域に根ざした活動をされている演劇人です。そんな方々のワークショップを通して、九州の演劇の「今」を体感できるよい機会にもなりました。