今回の台本への、僕の第一印象が《…ん?何これ?》だった。それは、内容だったり・キャラクターだったり・流れそのものだったり、何か引っ掛かりそうで引っ掛かってこない感じだ。だからこそ、僕の《妄想癖》は駆り立てられたんだろうけども。
今回僕は、まさにソレをお客さんに感じてほしい。しかしそこには、作品に対して《何なの!?》ではなく、芝居に対しての《何なの!?》があってほしい。僕の中では、どんな方向で行くのかは決まった。ただ、ソレをダイレクトにお客さんに届けるのではなく、キャラクターの味であったり・間であったり・僕の大好きな《役者の眼》であったりで、芝居の中で少しづつお客さんの心に種を仕込んでいきたいと思っている。
見ての通り、僕は思考・思想を言葉にして伝えるのが上手くない。そのくせ、ヘタにイメージは濃いタイプだ。
だが、僕はこのメンバーの魅力・空気・輝き方を、少なくともこの旗揚げからの期間で感じ・掴んできたつもりだ。
それを表に出し、ある面では抑え、全員の芝居のゴールの方向を、一つに結びつけてやる。そんな演出をしたい。そのために、とにかく役者と《対話・喧嘩》をしていきたい。
明確な演出プランとは言えない内容かもしれないが……しいて言うなら、今回は《スピード》《濃さ》のバランスに注意し、生かしたいと考えている。
一見よく分からない台本・少ない稽古期間だからこそ、《今更》と言われてしまいそうなほど基本なのかもしれないが、僕はそこが重要だと考えているわけだ。その中で、プラスαが見付かってくれば、それが僕らの味になってくるはずだと、僕は信じている。 |