脚本を読みこみ、現時点で考えたプランです。
この脚本の根底にあるのは「希望」ではないかと考えました。
そのうえで、テーマを抽出し、イメージを考えました。
●作品のテーマ
「その最後の瞬間を支えるのは希望である。」
この物語に出てくる男女は、それぞれの思いは解決しないままに、
「別れの時」を迎えてしまいます。それでも、最後の瞬間まで
お互いを知ろうとしたり、楽しく生きようとします。
それは、いつか必ず終わる私たちの人生と同じだと思いました。
私はこの舞台を通して、いつか終わる世界の悲しみと、
その中で、ひたむきに生きる人間の希望を表現したいと思っています。
●色彩・音・造形の抽象的なイメージ
1場は、都会的で寂しいグレー。
直線的で、どこか冷たく寂しい印象。
これから予期される別れを表現。
2場は、柔らかく暖かい曲線や、暖色系の色。
雰囲気は明るくても、どこか悲しい。
ラストシーンは、祝祭。踊る短い曲線。
●節分け
この脚本を、7つの節に分け、
その中で小さなクライマックスを作ります。
□一場
・冒頭…男1と女2〜男2登場
〜P1 女1「そんなあ…」まで。
男1と女1の関係が複雑である事を表現。
この男女の関係が儚く、終わってしまう事を暗示するように。
・全員が揃う
〜P4 男2以外は行く(ト書き)まで。
少々人物の心情との違いはあっても、明るく、元気な方向で。
この芝居が暗く静かな物語ではないアプローチでもあります。
整合性の取れている感情表現よりも、少し混乱や雑音があったとしても、
俳優が魅力的にうつる方法を選択したいと思っています。
「愛する人」「愛してくれる人」という女2の恋愛観。
そこがひっかかる男2。
男3「行きたくても行けなくなる」キーワード。
・残った男2
〜P4 暗転まで。
男2が気になる女1。
寂しくても救われる音楽。東欧系のフォークソング。
懐かしい感じ。
□二場
・冒頭
打ち解けた雰囲気。
そのなかで、この関係を続けるかの話。無邪気で感傷的な女1。
男3がしておきたかった事。男1は知っているような雰囲気。
男3が関係の終焉を握っている可能性を観客に伝えたいです。
・写真を撮る。
写真を撮るシーンは切ないと思います。
これを後に誰が見て、何を感じるのかを想像するからです。
明るければ明るいほど、時間が残酷に過ぎて行く事を感じさせます。
それでも、今、そばにいる人たちとの時間を楽しまずにはいられません。
明るく表現していきたいです。
明るく表現するほど、別れを示唆するシーンになると考えるからです。
・お互いの事は何も知らない。最後の瞬間まで、相手を知ろうとする。
(男3は3年間同じ髪型・女1妊娠しているのか・それぞれの職業は何か)
P12 男1「結局、お互いの事は何も知らないんだ」まで。
・林檎の種を〜ソシアルダンス
P12 男1「結局、お互いの事は〜」から音楽FI。
希望に満ちた別れの曲。
P13 音楽をかける。ラテン系の音楽。派手に。
●俳優の演技について少し
・100の劇場に対して、180の力で(1.8倍のフレームを想定する)
・観客に開かれる演技の方向(体と声の方向)
・体を動かす。声で遊ぶ。
・大きなレベルの感情で動き、同時に無駄を削ぎ落とす(誇張・省略)
●進行する時に気をつけること
・アイデアを出せる環境を作る。
・お互いが信頼できる関係を作る。
・時間配分 |