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FPAPスタッフによる『演出家ワークショップ』現場レポート!!(後編)
 

こんにちは。FPAPの榎園です。
4月に入ったばかりの新入りです。
高校、大学、社会人と演劇ひとすじ…
ではありませんf^^;
フツーのOLをずーっとやってた演劇シロウトです。
「のりうち」も「ロールバック」もわかりません。
そんな榎園のレポートですが、ご覧下さい。


◆6月8日:4日目   

いよいよ明日は発表公演。
最後の稽古です。
ゆめアール大橋の大練習室です。
黒幕を引いた向こうでは、小松さんとユニットの通し。
小松さんとの通しの時間は、1ユニット30分です。
本当に短い時間で仕上げなければいけません。

「HORIS★」(ホリスター)
出演者の一人がケガで出演できず急遽代役。セリフを覚えているだけでもスゴイです!

宮園さんは、演出初チャレンジ。
「心のこもってない台詞にしたくない」
"役者さんと話しあいながら"が基本スタンスです。
役者が変われば、演出も変わります。

この後も、みんなで夜遅くまで練習していたらしいです。

あべさん(Average≒31)
おおっつ!お侍さんがいます。

メイク道具もかつらもいかにも「役者さん」って感じがします。
お侍さんという設定はわかっていても、実際に衣装をつけると、ガラッと雰囲気かわりますね。
タイムスリップ、別の世界の人、見えない存在。不思議な世界が広がります。

演劇銭団Do−リンク場
せ、制服?!。制服のお姉さんがいますよ。
若いっていいなぁ。。
あらためて見ると、どういう設定なんでしょうね?
萌え萌えな女子高生に、キャバ系のお姉さん?までいます。
等身大でリアルなのかもしれません。
ピリピリした苦しさが、伝わる気がします。

劇団HoleBrothers
みなさん、おそろいのパジャマ?
椅子にすわると、なかなかセクシーです。
そんなわけで、男性陣は急遽短パンを着用することになりました。
そういえば、幸田さんの演出プランは「パンチラ方式」でしたね。なるほど(?)
このユニットは、息がぴったり合ってますね。
休憩中の会話もコントみたいなかけ合いで楽しいです。

aiiro
2場の女性の衣装は ムームーです。温泉っぽいですね。楽しそうです。
見ていると「さわやか」「せつない」「胸きゅん」みたいな言葉がうかんできます。
でも、それなりに人生経験をすごしてきた「せつなさ」が漂います。

最後は、テクニカルの打ち合わせ。
公演をするということは、色々なものの集合体なんですねぇ。
演出家は、照明や音や時間まで考えないといけない。たいへんです。
「小道具をどうやって受け渡すか?」
「椅子やテーブルの出はけはどうするのか?」
きちんとひとつひとつ確認します。


◆6月9日:5日目   

発表公演。
朝から集合して仕込みです。
仕込みの初日に本番公演までやることを『のりうち』というらしいです。
みんなで、荷物を運びます。
きっかけ合わせ→ゲネ→本番
とすすんでいきます。

aiiro
アドリブが飛び出します。旅行の打ちとけた雰囲気にぴったりです。
ユニットのメンバーは、演出の太田さんが初めて組む人たちばかりです。
稽古の過程でおたがいをわかりあって、気持ちがつながっていく。
そんなシンクロニティも感じます。

HORIS★
最後のシーンは、初めてみます。
秘めた思いを口に出さない…。いいですねぇ。こういう風に誰かから想われてみたいです。
ちょっと前の、ケータイのない時代。今より、時間がゆっくり流れていた頃。
ちょっとノスタルジックです。

あべさん(Average≒31)
神秘的で不思議な感じがしますね。
もちろん、どのユニットも舞台で見ると「おおっ!」と思うのですが、ここは「おおおおおおっつ!」でした。白い衣装が印象的です。
お侍さんもトリッキーな感じではなく、そういう世界があるんだなぁってなじんでます。この「本番での図」を、稽古場の何もないところでもイメージできるのが演出家なんですね。

演劇銭団Do−リンク場
見ていると、なんていうのか…。
じわじわと何かが覆いかぶさってくるというか、
真綿で首をしめられるというか。
今の若い人たちって、複雑で息苦しい時代に生きてるんだなぁって。
スピード感があります。あわただしい時代…HORIS★とは対照的です。
現実でもこんな風にキャラ設定をして生きているのかなぁ…。でも、人を好きになる気持ちはウソじゃないですよね。

劇団HoleBrothers
テンポのいい会話ですすんでいきます。
楽屋で幸田さんが直前まで演技指導をしていたっけ。
衣装だけのせいではなく、なんかこう色っぽいというか艶があるんですよね。
女性だけではなく、男性も。

当日は100名を超えるお客様がご来場くださいました。
実は「お気に入りのユニットだけ見て帰る人がいるんじゃないか」って不安だったんです。
でも、途中で帰る人はほとんどいなかった。
きっと見ごたえがあったんだろうと思います。

ポストパフォーマンストーク。
舞台だけでは語れなかった思いを、小松さんと演出家のみなさんが語っていきます。
この様子は、ネットラジオでも中継されてたんですよ。
乾杯!おつかれさまです☆

「うちあがった〜〜!!」って気持ちでいっぱいです。

色んな思いが交錯しますね。
でも、明日もワークショップはあるんですよねぇ。
「お客さんのアンケート見せて」と言われても
「ダメです。明日のワークショップで!」


◆6月10日:最終日   

まず、アンケートを読みます。
真剣です。
お客さまは、自分の感じたことを書いてきます。
自分達が表現しようとしたものが、お客さまに伝わっているか。
「今回は5ユニット。お客がユニットを比較してしまうので感想をかくのも難しい。」
と小松さん。

「うーーーーん」「うれしいね」「こんな風に思われたんだ」
考え込んだり、納得したり、笑ったり。

後半は、小松さんの演出。
本番とは『違う』演出をつけていきます。
まずは、『場』の確認。最初のシーンで登場人物はどこから何を見ていたのか?
ホテルの中庭や、温泉街、蛍や鳥など、各ユニットによって解釈が全然ちがいますね。

みなさんは、どんなイメージでご覧になりましたか?

その後、各ユニットのシーンの一部を再構成していきます。

劇団HoleBrothers
小松さんの指示は「男1が女1に殺意を持ってる設定で」
むむむっ!急にサスペンスっぽくなってきました。
男1の目つきがあやしいです。

HORIS★
台本では1場と2場の間で、温泉に入ります。
2場では「お風呂あがり」な体の状態になっているはず。
そこで、お風呂に入るエチュードをやります。
「女湯をのぞこうぜ」「え?いや・・・そんなことできないよ」「だいじょうぶだって!」
みんなクスクス笑ってます。

aiiroには
「アドリブなしで」
男3のカツラについて聞くシーン。
男3がカツラについてどう思っているか。
「カツラだと聞かれたことでどう感じてるのか」
カツラの話題になり、怒りを隠しきれない様子の男3の演技。
他の役者さんの演技が変わります。
リアクションを大事に…とのことでした。

演劇銭団Do−リンク場
キャラクターの設定を再確認します。
アキバ系の男1に萌えキャラだけど好奇心の強い女1。
小松さんが「もっと体全体を使って!」と女1を実演します。
「どこぉ?」と飛び跳ねて女子高生を熱演する小松さんに、参加者全員大爆笑でした。

あべさん(Average≒31)
「台詞をかえずに」
台詞を変えずに、お侍さんをどういかしていくか。
「現代語を勉強中の侍という設定もある」とアドバイス。
間の取り方や、表情で「現代語を使う侍」ができるんですね!

最後は、小松さんの講評で6日間の演出ワークショップを締めくくりました。

(担当:榎園)

 

◆ワークショップを振り返って(FPAP 高崎)   

ワークショップを無事終了することができた。担当のレポートは「シロウト視点」で書いているのだが、ある程度素養のある方ならばこのワークショップの雰囲気とその効果は十分にわかっていただけるだろうと思う。このワークショップを受けた演出家の次回作が急に著しく成長するというまではないだろうが、それでもこのワークショップを通じ各演出家が演出家としての能力を伸ばしたことは間違いない。各ユニットからの感想もそれを裏付けるものであり、主催者として想定していた以上にこのワークショップを利用していただいた。これは各ユニットの演出家の意識の高さを裏付けるものであり、今後の活躍を期待せずにいられない。
この企画を主催したFPAPにとっても、たいへん大きなものを得る機会となった。このワークショップに参加していただいたユニット、当日ご来場いただいたお客様、劇場スタッフや関係者、そして快く講師を引き受けていただいたばかりか、ワークショップ用に脚本まで書き下ろしていただいた小松氏にこの場を借りて感謝したい。
他都市の舞台芸術を支援する団体などが、同様の企画を行うようなことがあれば、このワークショップのノウハウ等はすべてお知らせする用意がある。その際は気軽にFPAPまでご連絡をいただければ幸いである。


 
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