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日時
2011年8月22日(月)、29日(月)、31日(水) 各日19:00〜22:00
会場
ぽんプラザホール
講師
遠藤浩太郎(I.S.D.)

ステージスタッフワークショップ【音響編】1/全3回

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音響編の講師は、I.S.D.の遠藤浩太郎さん。
第1回目は、主に舞台の音響セクションというのが、どんなことをするのか・どんな仕事があるのか、について学びました。

遠藤さんは学生時代、学園祭などでバンドのイベントをやっていたそうです。その中で、「PA」といわれる業者さんとやりとりすることが。当時の知り合いのPAさんは、親切な人が多く、「予算ないです」と正直に話したら、「予算がないなら体で働け」と、あちこち手伝いにまわることになった、とのこと。
これが、舞台の音響に触れるきっかけとなり、学内の演劇部から音響の依頼が来たり・・・という経緯から、音響を仕事とすることになったそうです。

音響のワークショップ、ということで、第1回目は生声NG、ということで参加者の発言も、遠藤さんの発言も、全部マイクを使って行いました。

今回のワークショップでは、

技術的な問題→システムの理解と機材の扱い方
実務的な問題→安全の確保、プランの共有と提示
効果の問題→効果的音響とは

について、をおこなっていきました。

まずは、音響というセクションにおいて守らないといけないルールについてからお話。
「安全の確保には、事故を起こさない準備がある」ということで、音響システムと機材について説明がありました。

まずは、「PA」という言葉について。音響のことをPAといいます。Public Address、という英語で、訳すると「公衆伝達」という意味。「電気的音響拡声装置」という意味です。これは、音声をその場にいる大人数の人たちに、正確に、そして均等に伝達する、ということ。

演説や緊急放送(警報、避難誘導)、施設の館内放送(呼び出し、アナウンス)や舞台音響などもこれに含まれます。
どれも、均等に・確実に聞こえるよう伝達することが大事です。

次に、あまり聞きなれないですが、「SR」という言葉について。Sound Reinforcementという英語。直訳すると「音響的再構築」または「音場補正」。演出的に用意された音、音源を現場において再現(再構築)することを意味します。

ここで、スピーカーを切り替えて、実際に音の出てくる方向を変えて音を体感してみました。

遠藤さん:全員に伝えるということでみれば、音の出口(スピーカー)はどこにおいてもいい。しかし、舞台空間になると、人物のほうから聞こえてくるのが自然です。そういうことに配慮しましょう、ということです。なので、スピーカーは、主に、舞台側から客席にむけて設置されます。電気的音響は全て音響担当者の業務範囲と言えます。ただ、警報は別です。どれだけ舞台が盛りあがっていても、災害があれば割り込んで入ってくるようになってます。それが危険から身を守るために順当です。

続いて、「音効」について解説がありました。音効とは、「音響効果」の略です。

音効=公演作品の音効=作品にかかわる全ての音の管理、構築部分を担当→デザイナー
音響=音響公演現場の音響現場で鳴る全ての音の管理→エンジニアオペレーター

自分たちの劇団内などで音響を担当する場合は特に問題ないですが、外注する場合は、この違いについて気をつけて仕事の依頼をしたほうがいい。という話がありました。

次に、音響のシステム概論として、より詳しく音響の機材の仕組みについて学びました。

音は、

音源としての声やCD・データの音など

音源を電気信号に変える、マイクやプレイヤーなど

電気的に音量を拡大する、ミキサーやアンプなど

音をだす、スピーカーやヘッドホン

という流れで出ています。
生音(音波)→電気信号→生音(音波)という形で、
音を、電気に変えてまた音として出力しているものが観客に届いています。
この流れがわかっていると、なんらかのトラブルがおこったときに、原因をつきつめやすくなる。とのこと。

おおまかな流れについて理解した後は、それぞれの段階で使う機材について、説明を受けました。
それぞれの機材の構造や、仕込み図の中での表示用シンボルについてなど。

音源を電気信号に変換する機器(マイクやプレイヤー)の説明の際に、
CD,MDプレイヤー、レコード、カセットデッキ、サンプラーなどは、ラインレベルの機器といって、強い電気信号をあらかじめ出力できる。マイクなどの機器とは出てくる信号の強さが違い、最初から大きな音がでてしまうので、気をつけてほしい。というお話がありました。

ミキサー(音響調整卓)についても、こまかく、名称やどの部分が何の操作をしているのか、ということが丁寧に説明されました。

また、パワーアンプの前後でケーブルの種類が異なるので、これだけ気をつけておいてほしい。ということも。音を電気信号に変換して、アンプで増幅させるので、アンプの前では小さい電気でも、アンプを通したあとは大きな電気になります。
ぽんプラザでは、間違えないようにコネクタ部分を変えて、同じケーブルを使ってしまわないようにしていますが、それぞれの劇場でやり方が違います。
間違えてケーブルをさしてしまうと、機材が壊れたり、ケーブルが発火して火事の原因になってしまうことも。

フィードバック・ハウリング(スピーカーから出てきた音をマイクが拾って循環してしまうこと)が起こってしまう仕組みについても説明がありました。
そのままにしておくと、スピーカーやマイクが破損してしまうので、マイクが音をひろう方向と、スピーカーで音を出す方向が同じ軸上にある。というのは避けたほうがいいそうです。

今までは音が出るしくみについてでしたが、続いては公演に向けての基礎知識について。
劇場を借りて公演をするときには、安全の確保がとても大事です。

安全の確保をきちんとしておかないと、スピーカーが倒れたり、ケーブルに足をとられたりして、観客や関係者が怪我をしてしまう可能性があります。
他に、電気機器を扱っているので、発火の可能性も。
「大きい舞台になると、緞帳の裏(観客には見えない)に、「火の用心」と書いてある。機会があれば見てみてくださいね。」というお話もありました。
また、劇場の機材の破損・故障させてしまうと、修理に時間がかかるので、次に劇場を使う団体が、その機材を使えなくなってしまいます。劇場を利用するときは、次に使う団体や他の団体に迷惑をかけないように気をつけましょう。というお話がありました。

安全の確保には事故を起こさないための準備も含まれる。とうことで、プランの共有についてのお話もありました。

公演の関係者間で、「何をやりたいのか」→「そのために何が必要なのか」→「実現可能なのか」ということを共有・検討したら、今度は劇場と打合せをします。
やりたいことが実現できるように、事前に確認。劇場にある機材が、出したい音が出せる機材であるのかどうか、「ロックバンドくらいの音量をだしたい」など、素直に聞いて確認をしたほうがいい。とのこと。また、スピーカーなどを置く位置についても、客説通路をつぶしていないか、など確認が必要です。そのためにも、仕込み図として、何をどこに置くのかを図面化したものを提出します。

次のワークショップでは、仕込み図を見ながら仕込みをするので、実際の仕込図も、見てみました。
「手書きでも構わないので、必ず提示するようにしてください。こういう風にしたい、と見てもらうことが必要」と遠藤さん。

次回は、実際に仕込みをします!

























































>>8/29のレポート

主催・協力等

主催:NPO法人FPAP
協力:九州地域演劇協議会
後援:(財)福岡市文化芸術振興財団、福岡市
助成:(財)福岡市文化芸術振興財団


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