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horamiriダンス研究所 取材
火曜劇場出演団体の公演に向けた動きをFPAPサポートスタッフまるやまが追います!!

10月も終わろうとする土曜日、horamiriダンス研究所、北九州公演の会場下見兼リハーサルが行われるということで、北九州市にある第一交通本社ビルにお伺いしました。

 ここがその会場。ふつうのオフィスビル。
 このロビーが公演会場になるのだ!
 リハーサル中

下見&リハーサル終了後、近くのカフェに移動してhoramiriの皆さんは打ち合わせ。その後、つかのみきさん、制作のピカラック・谷瀬未紀さんにお話を伺いました。

<「くじらのひげ」という今回のタイトルはどういうところからついたのですか?>
つかの:いちばん初めに「男前」ってことばっかり考えてたんですよ。「男前ってなんだろ」とか「男前って、見たことないなー」とか、そんなことばっかり考えてて、自分ではわからなかったんで、みんなに聞いてみたんです。「あなたの男前って何?」「あ、いま「男前」だ!」と思うことがあったらたら知らせて」って。そしたらね、みんな「男前」がいろいろ違ってた!ふとした自分の動作が男前だと思うひともいたし、何かにこだわってやってる人の姿を見て男前だと思ったり。男前は男女を問わず、ビジュアルだけじゃなくて、考え方とかも含めていて、意味がすごく広いなーと思って、男前がすごくおもしろくなったの!それで、男前でダンスにしようと思った。
『くじらのひげ。』ってタイトルは、よしろうさんがつけたの。
なんだっけ。あ、募集したんだ!みんなに「男前なのがやりたいんだよね」って、「タイトル募集!」ってしたら、みんなでいろいろ答えてくれてね。「花と竜」とか。なんだこりゃ?!ってのもあった。でも、よしろうさんが「くじらのひげ」って言った瞬間にきまってしまった。
「くじらのひげ」にはいろいろな意味があって。イメージ的に男前につながるなっていうのがひとつ。それと、くじらのひげは中世の西洋の女性のコルセットの材料にもなっていて、強くてしなやかなものらしいの。そういう女性を締めてたものってのと、直接的に意味がつながるかなっていうのがもうひとつ。でも、言葉がかわいいってのがいちばんの決め手!

<男前を考えるようになったきっかけが何かあるんですか?>
つかの:私がショックだったのはね、私が見つけた男前は全員女だったの!
稽古をしていて、だいたい花ちゃん(高野花子さん)が動いたときに「あー、花ちゃんそこもうちょっと男前にやってみて」とか「花ちゃん、男前だよね−」ってよく言ってたの。でも、ちょっと待てよ、花ちゃん女なのに「男前」て言っちゃってるよってことから考え初めたら、あー今男前だって思った対象はのは全員女だったの。
だからそのあとで、男前だって思う男の人はいないのかって探したんだけど・・・いなかった。
<今回はどのようにその「男前」が表現されるのでしょう?>
つかの:シーンをわかりやすくするために、タイトルを決めて、台本、って言っていいのかな?そういうものを今回初めて書いたんですけど、その、内容について書いたテキストの中には「男前」って言葉がでてくるのね。それを見た人がそう感じるかどうかは・・・さあ・・・
菊:内山さん(衣装担当)がね、テーマは「男前」って聞いてたし、すごい男前、男前ってイメージしてたけど、衣装大丈夫かしらって心配してた。
つかの:ああ。あのね、男前ってタイトルで袴着たらダサいよね〜。(一同爆笑)
<今日着ていたのは衣装じゃないんですか?>
つかの:ううん。あれはね、スカートでぱんつの見え具合を確認したの。
<・・・よく見えてましたけど>
つかの:見せるんだけど、ぱんつの見せ方も男前に仕上げたいからね。
 はい。ぱんつ丸見えです。男前?

 指示を出すつかのみきさん


<11月20日にまず北九州での公演があるわけですが、あの会場はすごいですね。谷瀬さんが見つけたんですか?>
谷瀬:はい。
<どうしてあそこにしたんですか?>
谷瀬:すてき、と思ったから。2階の音が素晴らしかった!
 2階。ここでちょっと歌う。本当にすてきな音が聞こえます
<火曜劇場には昨年も出られていますが、出ようと思ったきっかけは?>
谷瀬:今は公演が1年に1回くらいになっているのですが、何ヶ月かかけて作ったものを、せっかく作ったからにはたくさんの人にみてもらいたいんです。福岡には、「踊りに行くぜ」とか「ダンス波」とか、財団の企画にもけっこう顔を出しているので、もしかしたら福岡のほうがhoramiriの名前は出てるな、というのが私の感触としてはあるので、公演をするなら福岡も「地元」と考えてやっています。
<火曜劇場を公演のチャンスとして応募されたわけですね>
谷瀬:福岡で単独公演を打つのは今のところ難しいんです。火曜劇場という受け皿がないとできない。現地まで行って動ける機動力もまだないし、予算も全くないので、会場費も出せない。まあ、平日というのはなかなか厳しいものがあって、ダンス波も平日だったし、つかのは会社もいっぱい休んで、大変なことにはなってるんですけど、それでも、火曜劇場のような受け皿があるというところからまずやっていかないと、無理はできないんですよ。無理をするとやっぱり次の公演が打てなくなるので、一つ一つ、これなら公演が打てるなというところでやっていかないと。北九州も会場費は無料で、会社が休みの日曜のみ使わせてもらえるんです。だから仕込みも土曜日の終業後だけ。それも担当さんに個人的に残っていただいてやっとできることです。でも、そういうところからやっていければなーと。
将来的には誰かが招聘してくれるといいんですけどね。今は作った作品をどんどん発表して、レパートリーを作っていって、「うちで踊ってください」って言って頂けるようになればいいなと思ってやっています。
福岡の劇団が北九州でやるのも大変なんじゃないかな。近いようで遠いので。
福岡公演が打てるのは火曜劇場さんのおかげでーす!
と声を大にして言っておこう(笑)
<ダンスって見たことのない人には足の向きにくいもので、見たことある人にとっても「わからない」という感想がいっぱい出てくるジャンルだと思うのですが、ダンスの魅力について教えてください>
谷瀬:最近思っているのは、つかのがブログに書いていたんだけど、ダンスは音楽と同質のものだと思う、ってこと。みんな音楽が流れているのを聞くのはそんなに抵抗ないじゃないですか。風の音とかいろんな音が聞きこえてくるのも受け入れて生活してるじゃないですか。ダンスって言うのは、体を使ってそういうものを表現していて、それを耳じゃなくて目で受け入れるものじゃないかと思うんです。音楽を聴くのとおなじ感覚でダンスを見てもらえたらな、と思います。たまたま流れてきた曲で「あっ」思うことがだれでもあると思うんだけど、何度かダンスを見てるうちに、そういう風に、「あっ」と思う瞬間が来ると思うんですよね。
つかの:私はね、やっぱり舞台を見に行くには動機がいるでしょう。映画でも、行こうかと思ってもぼーっとしてたら行かないときがある。それをこの日この時間絶対来いよ!はずしたら、時間間違えたら見られないぞ、っていうものに行くのはものすごい動機がいると思うんだけど、それをあえて見に行くのはお芝居やダンスには他のものにはないものがあるからだと思うのね。それは何かというと、感覚とかそういうものが同化できる、とか、他のものよりはもっとダイレクトに伝わる、とか、ナマだからショックが強烈だとかいうこと。本読んでも、映画みても音楽聴いても感動はするんだけど、もっと押し付けがましく来る何かがあるんです。それが自分がそのとき求めていたものであろうとなかろうと、その押し付けがましく来る何かっているのを体験することによって、自分が何か感じることができる。感じて、そのあと考えるっていうことがあると思うので、それが舞台芸術の良さだと思います。
谷瀬:肩を持って揺さぶられるような。
つかの:そうそうそう。「ほら、見ろ~!」って。
谷瀬:それで「horamiri(ほら、見り〜)」なんですけど。(笑)
つかの:たとえそれが、「ああ、今これを見るんじゃなかった」って思うものであっても、それを体験することはそんなに悪いことじゃないし、私はそれを喜んで体験したいなーと思います。それを、一度体験してみてはどうですか?としか言えないけど。
だから、創り手としてはお客さんにそういう体験をしてもらえるようなものを作りたいです。人の感情や感覚が感じる、ダイレクトにたくさん伝わるような、そのためにはどうしたらいいかなーって、考えて・・・研究してます。
谷瀬:「horamiriダンス研究所」ですから。
<最後に、お客さんにメッセージをお願いします>
谷瀬:horamiriはいま「旬」に突入中なので、今見ておいたほうがいいと思います。
今が旬、じゃなくて、今からが旬。だから今のうちに見ておくと、あとから自慢できると思います。
つかの:福岡って、ダンスで舞台を創ってる団体ってあんまりないでしょう。誰かと似てるとか、そういうこともないと思う。とにかく、「希少」であることは確かです。
 
今回参加のメンバー:中央下 つかのみきさん。後方左から高野花子さん、菊元美さん、田島さん


<インタビュアーのつぶやき>
翌日、人形浄瑠璃を見に行ったのですが、そこでまた「くじらのひげ」に遭遇!くじらのひげは人形のからくりに使われているというのです。

今回印象に残ったのは、舞台芸術を見るのはなぜか、ということについてのつかのさんの意見。私自身もけっこう劇場に足を運びますが、その理由はと聞かれたら、まさにつかのさんが答えたように答えると思います。そして、逆に創り手として見る人の魂を揺さぶりたい、そのためにどうしたらいいのかを常に考え、よりよい表現を求めて「実験」を繰り返し、「研究」を続ける「horamiriダンス研究所」。火曜劇場は、その研究成果の発表の場です。あなたも魂を揺さぶられる経験をしてみませんか?

おまけ。
Yahoo!で「男前」を検索して、いちばん最初に出てきたのがこのページ。
全く関係ありませんが、あまりにもおもしろかったので、皆さんもごらんになって、皆さんなりの「男前」をイメージしてください。
http://www.sanwatouyu.co.jp/

(文責・FPAPサポートスタッフまるやま)