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劇団HoleBrothers 取材(稽古場突入)
火曜劇場出演団体の公演に向けた動きをFPAPサポートスタッフまるやまが追います!!

10月終わりの某日、劇団Hole Brothersの稽古にお邪魔しました。場所は福岡市内某所にある公民館。

お伺いしたときは皆さんウォーミングアップの真っ最中で、それぞれがストレッチをしたり、発声練習をしたり・・・。
その合間に脚本・演出の幸田真洋さんにお話を伺いました。

<今回のお芝居は1970年代と2000年代が舞台だということなのですが、みなさんはおいくつぐらいですか?>
幸田:僕が28歳になります。他の役者たちは24~29歳のあいだです。

<70年代にはほとんどの役者さんが生まれていないか記憶がない時代ですよね>
幸田:話に出てくるのは73年とか74年なので、みんな生まれる前ですね。

<イメージで作っているのですね>
幸田:そうですね。多少は調べてはいますけど。

<年代は物語の中で強調したいことでしょうか>
幸田:うーん。まぁそうですね。70年代に20歳くらいの若者だったひとたちが30歳、40歳、50歳と歳を重ねていく中で変わっていく様子を描きたいと思っています。

<なぜそういうものを描きたいと思ったのですか>
幸田:A:風俗辞典というのがあって、それぞれ年代にこういうものが流行ったとかこういう事件があったとかが書いてある本なんですけど、読んでいると70年代って学生運動も終わり、しらけムードが漂ったり、のんびり生きていこうよという雰囲気だったりしたって書いてあって。それは今の2000年代と共通するものがあるのかなと。
そこから発想がスタートしました。
70年代は、純朴で実直で、それが故の閉鎖的な部分もあっただろうし、一方で新しい価値観━自由で、欲望にオープンな━もあったと思います。古い価値観と新しい価値観がないまぜになっていそうな時代というところにも惹かれました。

<芝居を通じて見せていきたいもの・テーマはなんですか>
青春の、光と影です。いろんなことに対してまだ道を決めきれないとか、いろんな事に対して自由である一方で不自由だったり、そういったところを描ければいいと考えています。特に派手なことはないし、とてもシンプルな会話劇なので、そこにある情感を味わっていただければと。
劇団はもう6年目なんですが、その年毎に変化してきています。前回の『LILAC』という芝居からは文芸路線(笑)と言えるような方向にいっていて、今回は文芸路線パート2といった感じです。若い頃から描きたいテーマは変わっていませんが、表現の仕方は変わりつつあります。年をとればとったなりの表現があると思うので。

<お客さんにひとこと>
幸田:この芝居が、人生に迷う若者(若者ではない人も)の何かのきっかけになればいいなと思います。

 インタビューの後、稽古開始。
 70年代のアパートの一室と思われるシーンと、2000年のマンションの一室と思われるシーンを繰り返し稽古されていました。

 
手前:作・演出の幸田真洋さん。出演もします。奥:萩原あやさん。

 幸田さんが萩原さんに襲いかかる!
 今度は萩原さんが幸田さんに襲いかかる!?

 大澤鉄平さん
 殴った!「なにすんのよっ!」
 演出から細かい指示が飛ぶ
 演出のダメ出しを聞くわだちよさん
 

シーンは変わって・・・
 中西奈津美さん
 手前:切口健さん

<インタビュアーのつぶやき>
稽古では、同じシーンを何度も何度も繰り返して、せりふの一つ一つ、動きの一つ一つをていねいに作っていきます。せりふの言い方を変えながら、こんな気持ちで、きれいな見え方を探して・・・。幸田さんはたびたび稽古を止めて、時には自らが演じて見せながら、役者に細かい指示を出します。
役者たちはその一つ一つをかみしめ、考えて、新しい表現を探し、時には幸田さんと議論しながら芝居を作っていきます。1970年代の人間関係と2000年代の人間関係を丁寧に描き、爆笑することはないけれど、誰もが抱えている悩みや現代が抱える問題点をふと思い起こさせてくれる芝居になりそうでした。

(文責・FPAPサポートスタッフまるやま)