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日時
2011年8月11日(木)、15日(月)、30日(火) 各日19:00〜22:00
会場
ぽんプラザホール
講師
荒巻久登(有限会社シーニック)

ステージスタッフワークショップ【照明編】1/全3回

>>1回目(8/11)>2回目(8/15)3回目(8/30)

ステージスタッフワークショップ【照明編】は、全3回のワークショップです。
初回は、講座を中心に、舞台の「照明」とはどういう仕事かについて学びました。

まずは、講師の荒巻さんが関わった照明の舞台映像を見ながら、
舞台の照明がどのような考え・イメージで作られているか、
各シーンで工夫したところなどのお話。

荒巻さん:照明としてお芝居に関わるとき、やはりその作品の世界観が一番ベースになる。
芝居自体がフィクションで、照明も現実にはないことを表現するもの。
芝居では、舞台美術や音響、照明など色々なセクションが合わることによって、
登場人物が生きて、観客が想像を巡らせたり、感情移入できるような舞台の中のリアルができあがる。
照明もその一セクションとして関わっている。

次に、照明機材のランプの種類やあかりの出方の違いなどの説明がありました。
ぽんプラザホールにある照明機材は「フレネル」と「凸レンズ」と呼ばれるものなので、
主にそのことについて説明がありました。
「フレネル」はあかりのエッジがぼんやりとしているので、舞台全体を明るく照らす時によく使われ、
「凸レンズ」は、あかりのエッジがくっきりしているので、照明の光があたっているところを
はっきり見せたい時によく使われます。
照明機材を触るのは初めて!という参加者も多く、スタンドにたてた照明機材の、
明かりの大きさを変えたり、向きを変えたりなどもやってみました。

参加者から質問も。

Q. 絶対にやってはいけないことはありますか?
A. 照明機材は熱を持つものなので、燃えるものを近くに置かないこと。舞台上の幕は、防炎加工がしてあるものがほとんどだが、だからといって絶対に安全というわけではないので、照明機材の周りに燃えるものがないか、きちんと確認を。

Q. 照明をやるにあたっての最低限のセオリーというのはありますか?
A. 照明は光の集合体なので、1灯の照明機材だけ使っても人物の輪郭はきちんと浮かび上がらない。いくつかの照明を当てるにしても前からだけ・上からだけ、など一方向だけからだと、立体感が出なかったりする。他の方向からもあてることを考えるようにすれば、立体感や存在感が出てくるようになる。「このあて方で効果的だろうか?」と、「常に疑う」ということがセオリーですね。

演劇公演のときに、劇場に入る前の段階、劇場に入ってからの段階で、照明が何の仕事をするのか、についてもお話。

・劇場に入る前
まず、演出家の意図を汲むことが求められる。長く一緒にやっていると演出家のやりたいことがだいたいわかることもあるが、初めて一緒にやるようなところとは特に、「この演出家が何を考えているのか」ということを最初に探るところから始まる。 脚本が出来上がっていれば、できるだけ読み込んでいる方がいい。
台本を読む以外にも、実際に稽古場で役者が動いているのを見て、どういう照明がいいか、イメージしていく。

次に、演出家の考えを聞いたり、自分の考えを出していったりして意見のすり合わせをおこなう。
稽古にもできるだけ行った方がいい。
想像している照明プランが実際に可能なのか、公演する会場にある機材も把握しておく必要がある。また、実際にその会場に機材があったとしても、予算の都合など条件があるので、何をどれだけ使えるのかというのをまず把握する必要がある。

使えるものや条件を把握したら、自分が想像で考えていたイメージを現実の機材で表現できるように当てはめて、照明プランを作っていく。1週間前くらいまでには仕込み図を作って、劇場のスタッフさんと打ち合わせして話をつめていく。

・劇場にはいってから

おおまかには、以下のような流れで進みます。

仕込み(照明機材の吊り込み)
舞台周りの仕込み(上部に吊る照明以外にも床にライトを置く場合もある。この部分は大道具の進行状況との兼ね合いがある)
パッチ(照明卓という機材のどれを操作したらどのあかりがつくかという信号を送る操作入力)
シュート(照明の向きやあかりの大きさをあわせる。フォーカシングとも言う)
シーン作成(お芝居のそれぞれの場面で使う照明のシーンを作成する)
きっかけあわせ・場当たり(照明のきっかけの確認)
ゲネプロ(本番どおりのリハーサル)
本番

専門用語も交えながら、ひと通りの流れの説明がありました。

実際にいろんな現場を経験されている荒巻さんからは、「仕込みに時間がかかって、シーン作成の時間がゆっくりとれない場合は、役者が練習で動いているところに付き合いながらシーンを作成することもある」とのお話がありました。

荒巻さん:本当は、照明は照明だけが作業している状態でシーンを作る時間があって、
あとで役者が動いたりするのに合わせるということができるのが理想的。
しかし、時間の制約があることが多いのでなかなか難しい。できるだけ時間をかけない方法を考えながらやっている。

最後は、照明がどのように設置されているか、バトンを降ろして見てみました。
照明機材は通常、舞台上の演技するスペースの頭上に吊られています。
落ちてくると危険なので、落下防止のためのセイフティーワイヤーや固定ネジ、また、照明バトンに照明機材をひっかけるハンガー部分についてなど、簡単に落ちないための二重三重の仕組みがあることなどのお話がありました。

次回は、照明機材を仕込んでみます!

























>>8/15のレポート

主催・協力等

主催:NPO法人FPAP
協力:九州地域演劇協議会
後援:(財)福岡市文化芸術振興財団、福岡市
助成:(財)福岡市文化芸術振興財団


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