現在札幌市内を活動の拠点とする劇団は、およそ70〜90団体ほど。これには個人のプロデュース劇団や継続的に活動を行うユニットのようなものが10ほど含まれる。さらに大学の学生劇団が10ほどある(江別市、小樽市の大学を含む)。
うち40団体ほどが既に今年度公演を行っており、さらに15団体ほどが今年度これから公演を予定している。
最も集客力があるのはTEAM−NACS。北海道の人気タレント大泉洋ら5人組からなる。チケットは発売すれば即完売、1公演での集客は軽く5000を超え、今では10000に達するという人気ぶり。地元テレビ番組、ラジオ番組に数多く出演しており、劇団として、よりもバライティータレントとしての知名度の方が高い。その名は大泉洋出演の深夜番組「水曜どうでしょう」とともに全国へ広まりつつある。今年は初の東京公演を行い、来年には全国ツアー公演も予定されている。
続く規模を誇るのは劇団イナダ組。TEAM−NACSのメンバーのうち3人が現在所属している。そのためNACSメンバーが出演する時としない時で集客に大きな差が出る(前者の場合7000ほど、後者の場合1000ほど)が、劇団としては市内(道内)で最も集客力がある。最近では道内各都市を回るツアー公演なども行っている。
その他に集客が1000を超える劇団は劇団千年王國、SKグループ、劇団TPSぐらいか。
集客300以上で年1回以上の公演を行う劇団は20団体ほどと思われる。
※劇団の集客数は、公演のステージ数×会場のキャパ数を基準に、実際観に行った人間が客の入りを何割程度か調べたものを根拠としている。ただし、HPで観客動員が公開されているTEAM−NACSとSKグループはその数字に従った。
今年度旗揚げの劇団は12団体。
解散した劇団数は不明だが、多くの場合特に宣言もなく休業→解散となる方が一般的である。そのため、劇団数が増えているのか、減っているのかは非常に分かりづらい状況。
客演はほとんどの劇団で日常的に行われており、中にはキャストの半分以上が客演という劇団もある。公演回数の少ない若い劇団にその傾向が特に見られる。
総じて見ると、札幌では劇団の数に比べて役者やスタッフの数が不足しているようである。
現在、札幌市内での主な小劇場は以下のとおり。
・演劇専用小劇場BLOCH(120)
今年度(4〜9月)の公演日数73日。札幌市内で最も演劇が上演されている劇場。市内中心部に近い場所にあるため利用が盛んで、毎週末はもちろんのこと、平日にも公演が行われていたりする。これよりも大きいキャパを持つ使いやすい劇場が少ないため、旗揚げの劇団からある程度キャリアのある劇団まで幅広く利用されている。演劇だけでなくお笑いの分野でも利用されており、劇場主催のお笑いライブや一人芝居祭りなども行われている。E-1グランプリの札幌会場でもある。
・扇谷記念スタジオ・シアターZOO(90)
北海道演劇財団が管理する劇場。今年度(4〜9月)の公演日数55日。劇団TPS(Theater Project
Sapporo)のホームグラウンドでもある。劇団TPS公演、演劇財団の主催公演や共催公演、シアターZOO提携公演などがほとんど。今年度札幌市内で唯一、演劇でしか使われていない会場。
・ターミナルプラザことにPatos(150)
今年度(5〜9月)の公演日数16日。バンドのライブや、パフォーマンス系のイベントなどが多い。最近では札幌吉本も利用している。今年度よりNPO法人コンカリーニョの管理運営となった。8月に劇団イナダ組、9月に劇団千年王國が公演を行うことで、今後の演劇での利用がさらに増える可能性が高い。
・札幌市子供の劇場やまびこ座(200)
今年度(4〜9月)の公演日数24日。児童劇や人形劇の公演が多い。基本的には子供向けのものしか上演されないが、2004年6月にイナダ組プロデュースの公演も行われている。
・ラグリグラ劇場(60)
今年度(4〜9月)の公演日数26日(うち21日水曜劇)。Theater・ラグ・203の稽古場兼劇場。毎週水曜日に同劇団によるWednesday
Theaterが上演されている。他劇団への貸し出しも行っているが、水曜劇の公演があること、市中心部から離れていることなどもありそれほど利用は多くはない。
※()はキャパ、公演日数は演劇の公演日だけを加算したもの。人形劇は含まない。
以上の劇場での公演が全体の半分近くを占める。
これ以上のキャパになると市内のホールでの公演となる。これ以下の規模では、劇団自前の稽古場兼劇場やスタジオなどが多い。各劇団でよく使う会場というのはあるが、全体としてよく使われている会場がない。
そのため、小規模(50以下)や大規模(200以上)のキャパを持つ劇場を使いたい劇団でも、中規模(50〜200)の劇場を使わざるを得ないことが多い。
演劇の稽古をするためのいい場所、というのはあまりない。
劇団自前の稽古場(兼劇場)を持つ劇団、市内の公共施設(公民館、勤労青少年ホーム、小学校など)を借りる劇団、大学の施設を借りる劇団などさまざまである。
以前はフリーペーパーとして劇評などが出されていたりもしたが、現在紙媒体ではそのようなものが見られない。WEB上において、個人のHPで感想を公開している人がいたり、「一人芝居」や「札幌演劇navi」に観劇感想を書き込む場があったりするが、いずれも余り活発ではない。
相次ぐタウン誌の休刊で、地元演劇の公演情報を扱う雑誌は現在わずか2誌(Poroco、Hokkaido
Walker)。この2誌も、通常演劇への割り当てはわずか1ページである。その他紙媒体では他劇団の公演での折り込みチラシが最も情報が多い。
インターネット上では各劇団のHPの他に、元タウン誌のHPである「Yellowpage
READER'S」や、「札幌演劇navi」などが地元演劇の公演情報をほぼ網羅している。
その他にはコミュニティラジオ、ケーブルTVなどあまり一般的でないメディアでしか情報を得ることができない。
2004年9月14日
文責:西本潤平(ステージサポートNAIS)
備考
上記内容は主に2004年4月〜9月の札幌演劇の状況をまとめたものである。内容についてはなるべく正確を期すよう勤めたが、万が一誤りがあった場合にはご容赦いただきたい。誤りについてはご指摘を受ければ、謝罪のうえ訂正させていただく用意がある。
筆者への連絡はgekinavi@hotmail.comまで。
参考サイト
札幌演劇navi http://sapporo.cool.ne.jp/gekinavi/
札幌江別近郊演劇情報 http://homepage3.nifty.com/MGHJ/STAGE/
CREATIVE OFFICE CUE [オフィシャルサイト] http://www.office-cue.com/
劇団SKグループ http://www1.plala.or.jp/skg/
演劇専用小劇場BLOCH http://www.mc.megafit.net/~bloch/
北海道演劇財団 http://www.h-paf.ne.jp/
NPO法人コンカリーニョ http://www.concarino.or.jp/
札幌市子供の劇場やまびこ座・こぐま座 http://www.katsudokyokai.or.jp/sisetu/gekijou/index.htm
Theater・ラグ・203 http://www.mmjp.or.jp/ragu/
一人芝居(閉鎖 2005/3/28更新) http://park5.wakwak.com/~monodrama/
Yellowpage READER'S http://www.ypp.co.jp/yp.php?p=_/top.html
|