まずは参加者全員の簡単な自己紹介を終え、さっそく植村さんから京都の小劇場事情についてのお話がスタート。
松田正隆氏や劇団八時半の鈴江氏、劇団MONOの土田氏など京都の戯曲賞受賞世代がリーディングカンパニーとしてあげられ、各地を公演して、めきめきと知名度をあげるヨーロッパ企画やニットキャップシアターなどが続けて上げられました。このように植村さんの劇団衛星をはじめ、各地公演へ出るのには、京都の劇場事情が大いに関わっていたことがわかりました。
というのも、「京都には劇場が少ない!」のだそうです。アートコンプレックス1928、人間座スタジオ、アトリエ劇研などあげられたものの…、バスでしか行けないような場所にあったり(京都市内の人にとってバスは慣れている交通手段だが、他から京都市内に訪れる人にとってはわかりにくいのだそうです)。動員に関しても、京都だけでは600人程度がいいところで、大阪も視野にいれてようやく1000人を目指せる状況なのだそうです。比較的大阪のほうが大きな都市ということもあって観劇人口なども多く、大阪に行くことに関しては、ごくごく当たり前になっているのだとか。
練習場に関しては、京都芸術センターや各地域にある青少年活動センターなどがあげられまました。今でも大学卒業後も大学で稽古をさせてもらったりしている劇団さんがいるなど、稽古場にお金がかかる、という認識が今のところないそうです。(!!)京都芸術センターは一年半前より予約申請ができ、審査に通れば無料で使える、というもの。しかも組み立てた舞台を崩さずに練習することも可能(うまくいけば3ヶ月連続利用可能)になっているという、理想的な練習場です。ただし、演劇に関わらず、絵画やダンスや器楽練習なども対象なのだそうです。
京都になぜアーティスティックな方向性の芝居が多いのかという参加者からの質問には、京都造形大学の学生さんが実験的にな試みをしていることもあるし、リーディングカンパニーが戯曲賞揃いということもあり、比較的文学的な作品に慣れているからか?という意見もありました。また、上記、京都芸術センターのように演劇に限らないアーティスト同士の交流が生まれやすい環境があることも関係しているのでは?という参加者の意見もありました。
通常、地元で公演を打つ場合、観客には地元の知り合いが多い中、大阪というほどよい大きさの都市があることで、移動可能な距離で、地元以外の観客に対し公演することにより劇団の力量が高められている現状があるのかもしれませんね。
参加者からも「知り合いばかりではない環境での公演が、クオリティを上げるという説がある。京都は平均的なクオリティが高い印象があるが、それは他都市公演をしやすい環境と関係があるのでは?」という意見もあがりました。
この点は福岡にはない環境ですね。近くの県といっても他県の方が福岡公演していただくことはあっても、その逆は少ないかと思います。
因みに、大阪で公演を打つときには、事前に大阪の劇団に客演していたり、知り合いの大阪劇団とのネットワークを活かして、動員につなげていくのだそうです。なので、きちんと広報をしていれば、動員に苦しむということもなく、若干大阪までの運搬費などを上乗せするところもあるのだとか。上乗せしても大阪のチケット価格の平均程度に抑えられているのではないか?ということでした。ちなみに、チケットの京都平均1500円〜2000円(旗揚げ大学構内公演とかだと600円〜)/大阪平均3000円〜3500円とのこと。
さらに劇団衛星の活動の中に茶室で行う芝居があり、京都発のお茶会芝居として、各地のお茶室で公演予定の企画書が配布されました。
このお芝居、最後には観客もお抹茶、和菓子をいただくことのできるという五感で味わうお芝居で、内容はもちろん、企画書の書き方・作り方を見るだけでも大変参考になりました。
「体感する算数」という演劇的手法を小学校の主要教科指導に応用する実験的な教科指導の実施に関してのお話しでは、悪魔と天使などが出てきて、ストーリーの中で算数を学ぶものを紹介してもらいました。このように、算数で始めた教育への取り組みが、展開し、現在、「環境」「防災」「食育」「防犯」・・などを行っているそうです。
テーマごとに取得する助成金が違うのもミソですね!
またNPO法人フリンジシアタープロジェクトでは、「コミュニケーションティーチングについて」のシンポジウムを平田オリザさんを招いて事例発表とディスカッションを予定されています。京都には小学校の先生で非常にアウトリーチ活動に関して積極的な先生がいらっしゃり、今までにも積みかさねのある土地です。大変興味深い点でした。
また…
「京都は元来学生劇団から成長してきたところが多いが、最近は学生劇団が少なくなった。ユニットなど、縛らない団体が多くなった気がする。」
京都は大学が多い土地であり、最近大学演劇に活気がないようだとのこと。福岡にも大学が多いですが、福岡の大学、北九州の大学に関しても同じように活気がないようだという意見があり、全国的な傾向なのかも…という意見もありました。
「練習場が無料であることで、稽古に対するぬるさがあるのではないか?だからこそ、せかせかせずにのびのびとした作品ができるのは良いことでもあるが…」
という話もありました。
ほかにも、劇団が役者をかかえて、生活できる状態(つまり給与支給できるよう)にするためには?!そこにおける役者の覚悟とは?!など懇親会の席だから聞けるアレやコレも話していただきましたよ!
「福岡での公演の予定は?」との参加者からの質問に、「今日福岡の茶室を視察してきました。近い将来、福岡で…。」とのこと!劇団衛星さんの茶室芝居が福岡でも拝見できるかもしれません!
福岡の茶室ではぽんプラザ近くに「楽水園」があり、ここはデートにもオススメだとか!?
何かと隣の芝生は青く感じてしまいますが、実は必ずしもそうではなく、その土地、その土地の条件の中で、いかにしてハングリー精神で戦っていけるか、が大事なことかもしれません。
短い告知期間だったにもかかわらず、市外・からもご参加いただき、ありがとうございました!
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