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この企画は、戯曲ブラッシュアップのためのリーディング企画として、 新進劇作家の新作を、実際に役者による リーディングを行った後、 観客の皆さんを含めて作品についてのディスカッションをして、 作品をよりよいものにしよう、という企画です。
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ブラッシュ第三弾、今回の作品『孤影』のリーディングは、
福岡を拠点に演出・作家としてもご活躍されている役者の方々にご協力頂きました。
今回は事前に読み合わせ日を設けたので、
当日の読み合わせは行わず、本番に臨みました。
少し時間を押して、18:35にリーディングを開始。上演時間は1時間です。
観客の皆さまには、イメージの手がかりの一つとして、
戯曲登場人物の相関図と、配役表が書かれたディスカッションシートをお配りしました。
リーディングの後は10分程度の休憩をはさみ、
『孤影』作家の上野さん、ゲスト劇作家の川口さん、キャストの皆さん、
そして観客の皆さまも含めてのディスカッションを行いました。
司会はFPAPの高崎が行いました。
ディスカッションに入る前に、 ディスカッションの進め方についてのルール説明を行います。
「ブラッシュ」のディスカッションでは、 4つのステップに分けて順を追って進めていきました。
<4つのステップ>
ステップ1:観客から作者へ (心に残ったこと。いいなと思ったところをシンプルに)
ステップ2:作者から観客へ (作者から観客へ聞いてみたいこと。)
ステップ3:観客から作者へ (作者のつくりたい作品を正確に理解するための質問)
ステップ4:観客から作者へ (個人的に、ここをこうすればこの脚本はもっと良くなるのではないかと思ったこと。)
ここからは実際にディスカッションで出てきた意見も合わせて、ご紹介させて頂きます。
ステップ1:観客から作者へ
(心に残ったこと。いいなと思ったところをシンプルに)
まずゲスト作家の川口さんより、
「シンプルに書きたいなというものを紙にたたきつけている感じが良いと思った。
熱がないとお芝居は観客のみなさんに伝わらないと思っている」
という、川口さんの作品に対する思いを伺うことができました。
作者の上野さんは
「『これが書きたい!』という思いをぶつけて、作品を書いているところがある」
ということで、
作品に取り組む姿勢に共感してもらえたことは、 とても良かったのではないでしょうか。
観客の皆さまからは、
「登場人物の関係性が面白かった」
「スピンオフを見てみたい」
など、次に繋がる嬉しいご意見も頂けました。
ステップ2:作者から観客へ
(作者から観客へ聞いてみたいこと。 )
質問は全部で4つ。
観客の皆さまには挙手をしていただき、その数を数える形式で、 質問に答えて頂きました。
(〇:〇=割合)
まず1つ目の質問は、 【登場人物の相関関係がわかるか】
今回の『孤影』は人間関係がとても複雑でしたので、
事前に相関図をお配りしていましたが、
わかる:難しい=1:8でした。
ゲスト劇作家の川口さんからは、
「読んでも結構難しいと思ったから。全員がわかったら逆にすごい」
というご意見があり、
上野さんは
「血統が繋がっている人間でからませたが、絡み合いすぎていた。」
と、リーディングを聞いたことでより複雑さがわかったようでした。
2つ目の質問は
【政治的、保守・リベラルどちらに偏っているように見えるか。 偏っているとしたらどちらか】
政治的:保守・リベラル=1:2でした。
中には
「愛憎劇か政治劇への偏りだと思った」や、
「政治的やリベラルというのがよくわからない」
という、前提として難しかったというようなご意見もいくつか見られました。 3つ目は 【能面の存在はどのようなものだと感じたか】
「あまり印象に残らなかった」という意見と同じくらい、
「演出として考えたらなんでも使えそう」という、
公演として見ることを想定したご意見も多く出てきました。
司会より
「どれくらいのお客さんに話の内容を理解してほしいか」
と上野さんに聞いたところ、
「もともとは8割。ですが、今日のリーディングを聞いていて、わかってもらえたのは2割くらいかなと思った」
とのことでした。
4つ目の質問は 【作者から役者のみなさんへ宛てた質問】です。
「やっていて面白かったところは?」という質問には、
「今回は感情を抑えるように言われていたので抑えたが、ヒートアップさせたらもっと面白いんじゃないかと思った。」(興島歳造役:テシマケントさん)
「場面ごとに性格が変わるのが面白かった。」(多賀吉江役:宗真樹子さん)
「出てくる場面で台詞の感じがいろいろなパターンがあったので、それを演じられて面白かった」(西宮友平 他 役:中村歩道さん)
「僕は一番黒幕のような役をやらせてもらった。一つの感情をパシっと決められるのが気持ちよかった」(井倉政信 他 役:広瀬健太郎さん)
「最初はなぜ自分にこの役がと思ったが、実際に演じる役者さんは面白いだろうなと思った」(興島愛子 他 役:安藤美由紀さん)
「〜なのだ。とか普段言えない口調が言えたのが面白かった。」(友嗣 他 役:緒方卓也さん)
「役者はとても面白いんだろうなと思いながらト書きをしていた。」(ト書き 他 役:萩原あやさん)
というご意見を頂きました。
>レポート2ヘつづく
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