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福岡の地域演劇の最前線で活動する人たちをパネリストとしてお招きしました。福岡の演劇の展望を、様々な角度から語っていただくパネルトークの報告です

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日時 2006年3月21日(火・祝)13:30〜 ぽんプラザホール

1部

劇作家、演出家によるパネルトーク 福岡で活動する、劇作家、演出家によるパネルトーク
2部 大学演劇パネルトーク 大学の演劇部などで演劇活動を行う学生によるパネルトーク
3部 東京公演についてのパネルトーク 東京公演経験者によるパネルトーク
4部 福岡演劇の展望を語るパネルトーク アートマネージメント関係者・舞台活動有識者によるパネルトーク

○ パネリスト(パネリストプロフィール

1部

劇作家、演出家によるパネルトーク 泊篤志(飛ぶ劇場)
日下部信(劇団轍WaDaChi)
太田美穂(劇団藍色りすと)
岡本ヒロミツ(グレコローマンスタイル)
田坂哲郎(非・売れ線系ビーナス)
2部 大学演劇パネルトーク 上山悟司(西南学院大学演劇部3年)
藤山彩衣(福岡女学院大学演劇部3年)
小山なぎさ(福岡大学学術文化部会演劇部2年)
岡野嵩(九州大学演劇部2年)
河野幸輔(九州産業大学演劇研究部2年)
今村貴子(九州大谷短期大学演劇放送コース卒業生)
3部 東京公演についてのパネルトーク 池田美樹(劇団きらら)
大塚ムネト(ギンギラ太陽’s)
谷瀬未紀(ピカラック)
小島美紀(座"K2T3)
福永郁央(あなピグモ捕獲団)
4部 福岡演劇の展望を語るパネルトーク 高橋栄幸(福岡市文化芸術振興財団)
中村絵理子(西鉄ホール)
荒巻久登(シーニック)
川原武浩(最新旧型機クロックアップ・サイリックス)
柴山麻妃(演劇批評誌N.T.R.)




【第1部】

◎司会進行:太田美穂(藍色りすと)

まずは、司会の太田さんより「演出で気をつけていることは?」「いい脚本とは?」「書くときに意識してやっていることは?」などの質問攻め。
「演出はあえて事前に作戦を立てない」
「特に客演の場合この人の見たことない部分を見たい、というのを意識して」
「役者がかまないセリフがセリフなのでは」
などの意見が出ました。
また、「日常会話を書いている」という意見もあれば、「あえて普段使わない言葉、演劇的におもしろい言葉を書こうとしている」という意見もあり、議論は静かなる熱をおびていきます。
さらに話題はリーディングやト書きの在り方、そして泊さんの新作の話へ広がっていきます。どうやら泊さんの今年秋上演予定の新作は「ト書き」がポイントのようですよ。

と、話題も一段落したところで「YES・NOパネル」の登場。
「YES・NOパネル」とは、パネルトークの途中に、パネリストから観客のみなさんへ質問してもらって、観客のみなさんが「YES」「NO」と書かれたパネルを使って答える、というものです。("パネル"といっても、単に色紙に「YES」「NO」と印刷しただけなのですが…。)
記念すべき最初の質問は、泊さんから。

【質問】劇作家は頭がおかしいと思う?YES or NO?
【結果】YES:16 NO:30

うーん、微妙な数字…。
パネリストからは「あの人はおかしいよねー」と実名もチラホラ上がり、ひとしきり盛り上がりました。

次に演出家・劇作家から見た役者についての話題へ。
東京や大阪の役者、プロのタレントさんはやはりスゴイ、初日に全部セリフが入っていたりして、一緒に仕事をすると意識が高まる、という話に続き、セリフを覚えてくれない役者はやっぱりイヤ、とか、若いのに失敗をしたがらない役者ってどうなの?などの声も。

最後に、「福岡の座長代表を集めてリーディングの座長大会をやりたいね」という話が出ました。座長大会…たしかに響きもいいですね。ぜひ実現させたいところです!

【第2部】

◎司会進行:高崎大志(NPO法人FPAP)

つづきまして、6つの大学の演劇部から、フレッシュな顔ぶれが登場です。
まずは「YES・NOパネル」から。

【質問】大学演劇の芝居を観たことがある?YES or NO?
【結果】YES:25 NO:11

7割近くの参加者が大学演劇の公演に足を運んだことがあるようです。

大学演劇を始めたきっかけは、「幼い頃から」「高校演劇部から」「大学から」などそれぞれ。
上演するのは、鴻上作品や高橋作品、成井作品など既成のものが多いよう。「はりこのトラ穴」という脚本投稿サイトを利用している、という声も。
ここで再び「YES・NOパネル」。

【質問】「はりこのトラ穴」を知っている?YES or NO?
【結果】YES:14 NO:24

ほぅ、そんなサイトがあるのか。恥ずかしながら、私も知りませんでした…。
■はりこのトラ穴 http://www.haritora.net/

話題は公演場所や料金についてに移ります。各大学とも、学内に劇場やホールがあり、そこを無料で使うことが多いようです。言ってみれば大学演劇は、"練習場""事務所""劇場"の全て持っているという、かなり恵まれた環境のようで、「場所、金銭面での大学からのサポートがあり、採算を気にせずにいろいろ自由にやれる」という声が多く聞かれました。なんとうらやましい…。
その後、各大学の個性をふまえながら、福岡の大学演劇の現状に触れ、今回出演してくれた学生パネリストが今後どのように舞台にかかわっていきたいのか、さまざまな意見が出ました。
最後に、大学合同公演をやりたい!との意見がありました。これもぜひぜひ実現させたいですね〜。

【第3部】

◎司会進行:谷瀬未紀(ピカラック)

まずは、パネリストそれぞれの東京公演へのキッカケや経験談を紹介。
東京公演のキッカケは、「東京」で公演することに対する期待、見知らぬ人たちに観てもらいたい、刺激がほしい、という思いや勢いなど。が、中には「意外と刺激がなかった(=受けが良かった)」という声もありました。
また、東京の観客の印象、福岡との違いについて、
「東京の観客は言葉に貪欲で反応が濃い。ただ演劇を観にきているわけではなく、舞台芸術を観ることで貪欲に何かを自分のものにしようとしているお客さんが多いのでは。」
「福岡のほうがやさしい、ゆっくりと愛してくれる。東京はイエスかノーのどちらかしかない。」
などの意見がありました。

そしてここで「YES・NOパネル」。

【質問】東京公演をやってみたい?(劇団員など表現側ではない人は、好きな劇団の東京公演は観てみたい?もしくは、自分が劇団員だったら東京公演をやってみたい?)YES or NO?
【結果】YES:37 NO:14

やってみたい、という人が70%以上。やはり東京公演に挑戦したい!という人が多いのですね。

その後も東京公演の意義や体験談の話が続きました。中でも、
「"東京"が全てのメディアの80%を占める今、東京での経験をしてみるべきじゃないか、その上で、福岡に立ち戻って考えて見たいと思っている。」
という福永さんの話や
「地元のための地元の作品を作っているが、それが他の地域で観てもらってときにどういう風に受け止められるのか、中央のプロの表現者たちが僕の作品をどう受け止めるのかを確かめたかった。"福岡から発信する"という軸さえぶれなければお客様の輪を広げていけると実感した。」
という大塚さんの話が印象的でした。
また、司会の谷瀬さんからは、
「東京に持っていく作品を作ろう、ではなく地域の特色を盛り込んだ本当の意味での"リージョナルシアター"を発信することの重要性を考える人たちが東京にいて、東京は地域劇団の発掘に力を入れている」という話があり、これからの地域演劇の可能性を感じることができました。
トークの中でもありましたが、東京の情報は日本全国へ流れるという観点からいうと、東京で公演する=福岡から全国へ発信する、という意味でも重要な意義を持つのかもしれませんね。

【第4部】

◎司会進行:梁木靖弘(九州大谷短期大学/NPO法人FPAP)

さて、今回のパネルトークの目玉のひとつである4部の始まりです。さまざまな立場から福岡演劇を支え見守ってきた方々の話に期待。

まず最初に「YES・NOパネル」から。

【質問】現在芝居に関わっている?YES or NO?(観るだけ、という場合はNO)
【結果】YES:34 NO:19

トークは、パネリストそれぞれが思うところの"福岡演劇の現状"から。
「面白いイベントは脈々と続いていると思う。」
「専門学校、プロダクションなど、商業演劇に関するものが増えた。」
「演劇をやる側の人口は増えたが、観客層はあまり増えているという感じがしない。」
「小劇場系に関わりだして10数年、あんまり変わった感じはない。」
「劇団が増えていない。プロデュース、ユニット公演が多いがその意味が見えない。」
「客演については、以前は"仲間同士で"というのが多かったが、今は"その役者を使うことで作品にもその役者自身にもいい影響がある"というふうになってきているのでは。それはいい傾向。」
「演劇をやっている人間がそこそこいて、"なんとなく"続けていけるが、ここから先をどうするか目標をきちんと立ててやっているところがあるのか?状況としては同じことのくり返しで昔とあまり変わってないような気がする。」
など、忌憚のないさまざまな意見が出ました。

そして話題は"演劇を続けるモチベーション"について。
「具体的な目標があるからやる、ではなくやりたい気持ちからやっている人がほとんどだと思う。」「自分たちの世代は人生を捨て芝居に命をかけた。今の人は芝居をしながら生活をしているし甘えがある。」などのちょっぴり辛口の意見も。

ここでもう一度「YES・NOパネル」。

【質問】芝居をやっていることを親に言っていない(もしくは反対されている)?YES or NO?
【結果】YES:2 NO:15

【質問】演劇のためなら人生を捨ててもいい?YES or NO?
【結果】YES:7 NO:2ぐらい

堂々と「YES」を挙げた7名に(心の中で)拍手。

最後に、今後の福岡演劇のあるべき姿について。
「このようなシンポジウムを開けたことにまずは満足。もっと頑張りたい。」
「財団では子ども達に演劇を体験してもらう事業を展開中。将来子ども達が実際に演劇を好きになってもらって指導する立場に成長してもらえればうれしい。演劇に限らず自由な表現に対して楽しんでほしい。」
「皆が続けていけば洗練されて、もっと面白いことになるのかもしれない。」
「ここには来ていない一般の方々にもっと演劇に観にきてもらえるようにするのがまず第一。」
「芝居を観に行くという行為自体を好きになってほしい。」
「劇団サイドと観客サイドの交流が必要。」
「企業メセナがもっと活発になるといい。」
「制作スタッフの育成を。」
など、こちらも"民間""行政""つくる側""観る側"とそれぞれの立場からの幅広いご意見を伺うこができました。
このあと、助成金についてのかなり具体的な話にまで話題は及び、4部すべてのパネルトークは無事終了いたしました。

パネリストの皆さま、お疲れさまでした!
ご参加いただいた皆さま、ご来場ありがとうございました!

(文責:NPO法人FPAP 横山)

 

 
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