今回の稽古でメンバーが揃うのはやっと4回目。そして今回、彼らにとって初の公開稽古となります。
まず、演劇を通じて社会とどう繋がっていくのか、演出家ペーター・ゲスナーの演劇への考え方が話されました。
早速稽古開始です。客席の中にペーターさんが入り、そこから出演者の2人を演出していきます。
演出と俳優の掛け合いからどんどんテンションがあがっていくのが、観ているだけでわかります。
「客席をみて!お客さんの目を見て!お客さんに疑問で投げかけて!ここではお客さんに同情を求めて!」
客席も演出に巻き込まれていきます。
そうしていくことで観る人が共感できるように、何をすればいいかを役者に考えさせていました。
自分のためだけの独りよがりの演技ではなく、一般女性の代表として堂々とした演技を求めてられており、ペーターさんのいう社会と演劇のつながりが、ここで演技に現れてきます。
「今ここで試しにやってみてください」というペーターさんの依頼に、狂言を7歳からやっている野村万禄さんは「アドリブ苦手なんです…」と申し訳なさそうに返す。
狂言と現代劇との違いですね。確かに伝統的な狂言にアドリブはありません。公開稽古後の質問に対する回答にもありましたが、この狂言と現代劇の違いについて、分かりやすい部分では「間」があるとのこと。
狂言はゆったりとした間があるので、現代劇では意識しておかないと、違和感を感じるくらい溜めてしまうことがあるので注意が必要とのことでした。
現代劇をやることで、何を得ることが出来るのか、終わってみないとわからないということですが、野村さん、まんざらでもなさそうです。
ペーターさんは伝統芸能を尊重しているだけに、今回野村さんと作品を作る事ができたことは、大変いい経験になるとのことでした。
初めて公開稽古を経験してみての感想では、
「演出家は民衆にはなれない。民衆がいることでできる演出がある。今日はそれをとても実感した。また、私達のチャレンジを試すいい機会でもあった。やってよかった。」とペーターさん。
見学者からも
「普段は見られない演出風景を見られて、役者の努力などを感じた。」
「本番はどうなるのか期待を持った」
「芸術が生み出される瞬間を見るいい機会となった」
と好評でした。
こうして無事公開稽古は終了。公開稽古で得るものは劇団、参加者ともに少なくないようです。
演劇に触れる人口を増やすという意味で、こういったイベントは有効ではないかと感じました。
(文責:FPAP山本佳代)
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