タイトル
後藤香の初心者向け戯曲ワークショップ「まずは1シーン書いてみよう!」
日時
2015年1月18日(日)13:00〜18:00
場所
ノマドクロス 多目的室
講師
後藤香(劇団go to代表)
募集サイトはこちら→

後藤香の初心者向け戯曲ワークショップ「まずは1シーン書いてみよう!」

第五回九州戯曲賞大賞を受賞した劇作家・後藤香さんを講師に招き、初心者・未経験者を対象とした戯曲ワークショップを開催しました。
その一部をご紹介します。


「戯曲は文学作品の一種とも言われますが、戯曲以外で『文学』というとどんなものが思い浮かびますか? 」

まず初めに後藤さんからの、戯曲はどんなものなのか,、という質問からスタート。 この問いかけに対し、参加者からは小説、詩、エッセイなどの意見が挙がりました。
その中でも一番戯曲と似ているのは小説。続いてその2つの違いは何か、を確認。

小説=ト書きの連続
戯曲=小説と違い、セリフだけで物語がつながっていくもの。

ということを確認しました。


これを踏まえて、後藤さんが書かれた「タンバリン」という戯曲を使い、戯曲を書くときのルールや、演劇ならではの用語を確認していきました。

後藤さん「戯曲で使われる文字の種類は『ト書き』と『セリフ』の2種類。 セリフは上に、喋っている役名が振ってあるもの。
ト書きは、セリフになってない部分。段が下がっていて状況を説明している部分です。
演出家はこれらをどうやって絵にするのかを考えて演出していきます。」

早速、セリフを書いてみます。

後藤さん「どういうキャラクターなのか?ということをイメージすることが大事。 今日は簡単に皆さんの知っている人を設定しましょう。身近な人、遠い人・・・自分の中でキャラがはっきりしていればOKです。 」

実際に戯曲を書くときは架空の人物であっても、できるだけ登場人物のイメージを具体的に、はっきり持つことが大切なのだそうです。
今回は登場人物がニ人、場所は「夜の学校」という設定で、会話を書いていきました。

  

ここで後藤さんよりアドバイス。戯曲を書くときには、

・二人はどんな関係なのか?(友達、夫婦、生徒と教師など)
・登場人物が困っていること、悩んでいること、解決すべきことは何か?

の2点を考えるとより書きやすいのだそうです。


次に、少し進んだところで、書いたセリフを声に出して読んでみました。
無くし物をして困っている兄妹、恋がうまくいかない高校生、保護者面談中の先生と母親、などなど同じ「夜の学校」という設定でも書く人によって登場人物は様々。セリフの響きにも書く人の個性が表れます。
登場人物のイメージがはっきりとあるからか、講師の後藤さんや参加者から「キャラが立っている」「喋っている時の表情が伝わってくる」などの感想が挙がりました。

  

後藤さん「書く時には、必ず欲望があります。家族愛を書きたいとか、世界平和を書きたい、とか、いまどきの若者は・・・なんて言うな!とか。この女優さんを魅力的に見せるためにとか、とにかく笑わせたいとか・・・。 書くということは欲望があるということ。
今から、先ほど書いたセリフの続きを書き進めていきます。
実はこういうことがやりたいというものが強くある人は、今度はそれに向かって書き進めてください。
今のままでOKという人は、これから登場人物を一人増やしてみてください。」

参加者「欲望がないという場合はどうしたらいいですか?」

後藤さん「何か事件を起こしてみましょう。脚本って、そうやって自由にできるところがある(笑)」

  

書き進めたところで再び声に出して、読み合いを行いました。物語が意外な方向に進んだり、登場人物の新しい一面があらわになったり、続きが気になるシーンが生まれていきました。

後藤さん「登場人物が二人の時は、二人がどんな表情をしているかわかるけれど、人が増えるとどうでしょう。三人だとどんな表情をしているかわからなくなることもありますよね。難しいですが、一人増えるとそれまでの空気を変えることができる。呼吸が変わるし、場面が変わる。4人目が出てくると更に面白くなる。 こんな風に、いろんなキャラクターが物語を引っ張り、最終的に目指すところに行くと面白い。」

今回書いてみたのはあくまで1シーン。シーンが積み重なって一つの作品になります。作品を書く時は、あらかじめプロットと呼ばれるあらすじを考えておくとシーンが作りやすいそうです。

後藤さんが戯曲を書くときには、こんなことをされているそうです。


・登場人物のプロフィールを作る
その人がどんな人か、性格、見た目の特徴、心の中で思っていることを、とにかくたくさん書く。とりとめのないくだらないことも含めてたくさん書くとキャラクターが明確になって、登場人物たちが喋りだすようになる。

・人物相関図を書く
この人はあの人をどう思っているのか、彼らの関係性はどうかを必ず書いて、人物のキャラクターがブレないようにする。

・書きたい題材について徹底的に調べる
書きたい題材を突き詰めることで見えるもの、書けることがある。後藤さんが過去に書いた「タンバリン」では、ボクシングをする女性が登場する。このときはボクシングについて沢山調べたそう。


  

後藤さん「戯曲は1本書く根性・精神力があれば、書けます。 それがおもしろいのかおもしろくないのかというのは、7本〜10本くらい書いてから。まずは、いっぱい人の目に触れること。 ボロクソに言われたり、共感してもらえたりを繰り返しながら進んでいくんだと思います。 」

主催

主催:NPO法人FPAP
協力:九州地域演劇協議会

過去の関連事業 (実績レポート)

■2014年11月開催 土田英生の初心者向け戯曲ワークショップ *実際に書き出してみる、第一歩*(講師:土田英生)

■2013年8月全2日開催 初心者・未経験者のための戯曲ワークショップ「書こうぜ、せりふっ!」(講師:島田佳代)

■2011年〜2012年全5日開催 戯曲ワークショップ「都市日記fukuoka」(講師:松田正隆)

■2011年10月全2日開催 演劇づくりの一歩!初心者・未経験者のための戯曲ワークショップ「あなたのぎきょく」(講師:樋口ミユ)

■2010年〜2011年全6回開催 誰にでも書ける、貴方にしか書けない戯曲講座(講師:泊篤志) [職員ブロクより]

■2010年7月〜8月全2日開催 「一枚の写真からはじめてみる」初心者のための戯曲ワークショップ(講師:田辺剛)

■2009年9月〜全5日開催 永山智行のもっとヤクニタタナイ戯曲講座(講師:永山智行) [職員ブロクより]

■2009年7月全2日開催 誰にでも書ける、貴方にしか書けない戯曲ワークショップ(講師:泊篤志)