講師より

私が一番好きな宮澤賢治作品『どんぐりと山猫』の中に、こんなせりふがあります。
「このなかで、いちばんえらくなくて、ばかで、めちやくちやで、てんでなつてゐなくて、あたまのつぶれたやうなやつが、いちばんえらいのだ。」
今回の戯曲講座のタイトル、「ヤクニタタナイ」とは勿論、逆説なのですが、「役に立つ」ことのみが圧力的に求められる今、「ばかで、めちやくちやで、てんでなつてゐなくて」という、社会的にはまったく「役に立たない」者の視点を持つことが、私には芸術家の必須条件のような気がします。

そんなわけで、今回の講座では、これまで何度か戯曲を書いたことがある方を対象に、「さらに巧く書く」ことよりも、より自由に、よりデタラメに、ルールを守るふりして破っていく、そんなしたたかな情熱で、一本の戯曲を書き上げるものになったらいいなと思っています。おそらくその向こうにこそ、あなたにしか辿りつけない草原が広がっているような気がします。

(永山智行)

日程

2009年9月11日(金)、10月17日(土)ほか、全5日間
(受講者の作風や方向性により、内容に大幅な変更が生じる可能性があります。予めご了承ください。)

一回目 受講生各人の方法論、趣向性の確認(2009/09/11(金)19:00-22:00 )
・言葉の定義や、講師のポリシーなど話し、講座の中でのルールを確認しておく
・次回以降重要な要素となると思われるスケッチについての解説等
・提出課題から見られる、受講生各人の方法論、趣向性(ポリシー)を改めて本人に確認する。(どういうことがやりたいか。何を伝えようとしているか。どういう表現を大切にしているか)

二回目 プロットを組む(2009/10/17(土)14:00-18:00 )
・場所、時間、登場人物二人以上、登場人物の関係性、モチーフ等
・今後の創作を支えるだけのモチーフを掲げられるか
・一回目に確認した部分との整合性を見る。

三回目 戯曲を書く(前半)
・講師よりコメント・質問・今後の展開へのアドバイス
・各人の個性がどこに生かせるのか確認
・プロットよりも、各個人のポリシーとずれていないかを見る。
・本人がやりたいと思っていることが活かせる方法が他にないか考える。
・半分まで書き上げる

四回目 戯曲を書く(後半)
・やりたいことを活かせる戯曲になっているか、どうしたらそうなるかを考える
・これまでやってきたことと別の視点を盛り込む課題
・いままで持っていなかった新しい視点が持てるか。新しいテクニックが使えるか。
・最後まで書き上げる

五回目 振り返り
・作品の第二稿を書く
・各人課題の確認
・質疑応答、総括

三回目以降の日程は別途調整いたします。 基本的に土日か、平日の夜に開催します。


会場

福岡市内(ゆめアール大橋、ぽんプラザホール等市内施設)


定員

5名


講師プロフィール

永山智行(ながやまともゆき)

1967年、宮崎県都城市生まれ。劇作家・演出家。劇団こふく劇場代表。AAF戯曲賞(主催:財団法人愛知県文化振興事業団)受賞作『so bad year』のほか、劇作家協会新人戯曲賞最終候補作 『空の月、胸の石』『北へ帰る』などの作品がある。

2005年、書き下ろしの新作『昏睡』(創作ネットワーク委員会+Ort-d.d公演)で東京国際芸術祭参加。宮崎県立芸術劇場演劇ディレクター。

対象

戯曲を書いたことがある人、劇作家


受講料金

15,000円(5回通し)


応募締切り

2009年8月18日


応募方法

WS受講希望の方は、 info☆fpap.jp(☆を@に替えてください)まで「件名:戯曲WS希望」にて
1.氏名
2.年齢
3.電話番号
4.メールアドレス
5.所属(「なし」でもかまいません)
6.講座に期待すること
7.演劇歴
8.これまで書いた戯曲のタイトル
9.課題
詩、っぽくない、より自由な形式で詩を書いてみてください。
テーマは、「男と女が一緒に寝ている情景や感情」。 長さ・書式はともに自由。

をお送り下さい。折り返し確認の連絡をいたします。 36時間以内に確認連絡がない場合は、お手数ですが電話にて確認をお願いします。

受講が決まったら、下記の送付をおねがいします。(締め切り8月27日)
・過去に書いた戯曲で、一番自分らしいと思うもの。


定員を超えて申し込みがあった場合、締め切りを早めるか、書類選考となります。 選考の結果は締切日以降にお知らせいたします。



主催:NPO法人FPAP(エフパップ)
協力:九州地域演劇協議会
後援:福岡市 福岡市教育委員会 (財)福岡市文化芸術振興財団 
助成:(財)福岡県教育文化奨学財団