観劇ディスカッションブログ

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『来週の私はどうなっているでしょうか?』

2011.05.30 Monday | 第4回

こんにちは、来週には観劇ディスカッションツアーを終え、どこかしらかが変わっているであろう、山下キスコです。

3日間で4本の芝居を観劇し、ディスカッションを行うこのツアー。
どんなモノヒトコトに出会えるのかとてもわくわくしています。

今回、団体の成り立ちや表現手法、テーマなどの異なった、4つの作品を3日間という短い時間の中で立て続けに観ることになります。
しかも観て一人でぐるぐる考えるのではなく、ディスカッションをするわけですから、感じたものを人に伝えるべく、噛み砕いたり反芻したりしながら、交換、交流し、そこからさらに考えを発展させ、と、作品から感じられるモノ得るモノが普段の何倍にもなるに違いないと、期待しています。

また、他地域で活動している人たちと共に観劇しディスカッションを行う、という点においても、どんな相違点があるのかとても楽しみです。

私は今年4,5月に、『九州4県の俳優と演出家が集まって行う』公演に参加していたのですが、その公演を通して、地域によって【表現すること】との接し方や距離感の違いが、あるのではないかと感じました。
あらゆる表現は、その人が今までに経験した感覚や感情から立ち上がっていくものではないかと、私は思っています。よって、生活環境による影響という点において、やはり【地域による違い】というのは少なからずあると思います。
そこで、他地域で活動されている方々と同じモノを観て、その受け取り方や距離感などにどのような相違が出てくるのか、という部分にとても刺激的な魅力を感じます。

私の視野、セカイがどう広がるのか広げられるのか、はたまた新しいセカイができるのか、再来週の私を楽しみに、旅への準備を進めたいと思います。

yamashita
  
   
  
  
  
  
  
山下キスコ(第4回) | comments (1240) | trackbacks (0)

「観劇」そして「ディスカッション」

2011.05.30 Monday | 第4回

はてさて、FALCONです。

今回のツアーに期待することは、何をおいても、東京の演劇の「今」を感じられたらというのが一番の願いです。
僕は、高校を出てから東京に行き、芝居をはじめたのもその魅力に取り付かれたのも東京でした。それから、考えあって福岡に戻り、10年ぐらい福岡で芝居を作り続けてきました。その間にも、何度か東京に芝居を見に行ったことはあるのですが、どうしても自分でチョイスする作品ばかりだったの で、あらゆる面で「想像通り」の芝居しか見ていません。今回は主催者が選んだ作品を見ることができるので、どんな作品に出会えるのか、新しい刺激に期待しているというのが現時点での単純な期待です。
まあ、日程や移動の問題で、チョイスされる作品にも大きく制限はありますが、それでもその制限の中でも、主催者の皆さんが一生懸命選んだ作品なので、貴重な機会に感謝して、僕も一生懸命に観劇しようと思っています。


そして、「観劇」ともうひとつ期待しているのが「ディスカッション」の要素ですね。芝居を見ること以上に、その作品を見た人たちがどんな感想や意見を持つのかをすり合わせることは、ただ芝居を見ることの数十倍も感性や脳を刺激します。しかも今回は、九州・広島で活動する演出家の皆様とのディスカッションなので、その刺激も方向性もすべてが楽しみです。
演劇屋というのは喧嘩のプロです。喧嘩することで相手と断絶するのではなく、逆にとことんまで喧嘩した上で、その相手とともに「ひとつ」の答えを創り出していくのですから。もちろん、ハナからぶつかり合うことが目的ではありませんが、それぞれの演出家や主催者の皆さんと「作品」という触媒を介して意義のある話をできたらと思います。


自己紹介にも少し書きましたが、僕は「役者の力」を重視するものづくりをしています。それゆえに、「役者以外の要素」を重視する芝居、そしてそれが「正当な効果」を発揮している作品に出会うことは、大いに刺激になります。今回の4作品、そしてその後のディスカッションの中で、「役者以外の要素」に出会いたいと思っています。
矛盾した論法にも見えますが、裏返せば「役者以外の要素」を手に入れることができれば、自分自身の演出論に確実に新しい要素がプラスされることになるのですから。

書き連ねてみると、いたって普通のことを望んでいるのですが、今の時点での期待はこれがすべてです。せっかくいただいた機会ですから、僕の受けた刺激や体験は、しっかりと分析してそれを記録し、今後のレポートやブログなどを読んだ方にも「伝える」ことをめざしてがんばります。ご期待くださいませ。

falcon
  
  
  
  
  
  
FALCON(第4回) | comments (1047) | trackbacks (0)

新しい発見を!

2011.05.27 Friday | 第4回

5月も終わりに近づき・・・
ということは、ディスカッションツアーの日も近づいているということ!

何かとバタバタしている毎日ですが、徐々に気持ちも身体も調整していきたいと思います!

個人的に、芝居を観に行く事はぼちぼちあります。
地元もですし、仕事がら他県に行くことも多いです。
が、・・・それをなかなか「人と話す」ことはないです。
友達となら観に行って、あーでもこーでもと話すのですが、それはまた違う次元・・・というか、演劇畑でない方も多いですし、違う業界の方とも多いですし。
ここ最近は一人で行くことも多いですし。
正直、地元で観るものに関しては、なかなか腹を割って舞台について話すということも少ないです。人間関係上とか、仕事上とか・・・ついて回るものが多いからですかね〔苦笑〕。遠慮しながらとか、6割くらいしか本音は言わないとか、極度に言葉を選びながら話すとか、そういう気のつかい方もします。

が、今回は、4本のお芝居を観て、腹を割ってとことんディスカッションできることが楽しみです。そのために集まった方々ですから、私はこう思うけど・・・という域から超えて、新しい発見が出来る、それを期待しています

演目自体では「東京で創られている」というものに期待はしていません。あ、ラインナップはもちろん楽しみです!折り紙つきの推薦モノですからね!
ただ単に「東京で創られている」というものだけには期待していないということです。
地域でだって良いものはたくさん作られています。反対に東京でイマイチなものも、たくさん創られています。それが発信されているかいないかとか、発信する気があるかないかとか、そういう感じの意味です。
でも質の良い作品をこんなに観れる〔観れそう〕のに、ホントに短絡的でミーハーですが〔苦笑〕楽しみにしています。

いろんな方と素敵な出会いが出来たら良いなぁと思います。
いや〜もちろん不安もありますけど。。。不安を「楽しかった!」に変えられるように、いろんなところに神経を張り巡らせて、頑張りたいと思います!

ochi
  
  
  
  
  
  
  
  
越智良江(第4回) | comments (1490) | trackbacks (0)

village80%、渡部です。

2011.05.24 Tuesday | 第4回

皆様、こんにちは。
福岡の劇団、village80%(ヴィレッジハチジュッパ)で脚本、演出、俳優をしてます、渡部光泰(ワタナベミツヤス)と申します。

「脚本、演出、俳優」というと劇団のトップだと思われるかと思いますが、私たちの劇団には同じ立場の者が後2人(その気になれば更に後2人)いるという、非常に特殊な集団です。

しかしながらこういう説明文も、もう4、5年書いてきたので、いい加減新鮮味を失ってきた感もありまして、そろそろこの辺でパワーバランスに変化をつけるべく、この観劇ディスカッションツアーに参加した次第であります。

今後、個人での活動も積極的にやっていこうと思っています。
今回のツアーがその糧になるであろうと期待しています。

他の参加者の皆様、よろしくお願いします。
そしていずれ劇場でお会いするかもしれない皆様、今後の活動にご期待ください。

watanabe
  
  
  
  
  
渡部光泰(第4回) | comments (2046) | trackbacks (0)

広島からハロー!

2011.05.22 Sunday | 第4回

ハローハロー、はじめまして!
この度、観劇ディスカッションツアーに広島から参加させて頂くことになりました。
広島で劇場の仕事をしながら、劇団Tempaという劇団をやっています、越智良江です。

演劇を始めて十数年・・・気づけば三十路すぎ!どひゃー!月日は早いものです・・・。
昔は役者をやっていましたが、今は脚本と演出をするようになりました。実は打ち上げよりも反省会の方が好き。本番よりも稽古が好きです。胃はイタくなりますが・・・あの「何か」が生まれる瞬間に立ち会えることが幸せです。
先日、公演が終わったばかりですが、秋の公演に向けて台本を書きだしている毎日です。

なかなか地元で演劇活動を続けていると、他地域の劇作家・演出家さんと語れる場ってないです。たくさんの方と出会える貴重な機会をありがとうございます。皆さんから刺激を受けて、自分にはまだない引き出しが発見できますように。
スポンジのようにぎゅぎゅっ!と吸収して帰りたいと思います。
とても楽しみにしています。
どうぞ宜しくお願い致します。

ochi
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
越智良江(第4回) | comments (4878) | trackbacks (0)

FALCONの自己紹介

2011.05.19 Thursday | 第4回

はじめまして。このたび第4回の観劇ディスカッションツアーに参加します、FALCONと申します。
 現在は「空中楼閣」という劇団を主宰、座付きの劇作・演出をやっています。

 作家や演出家を志したのは18歳の頃、芝居の学校に通い始めてすぐの頃でした。養成所経験をお持ちの方は分かると思うんですが、駆け出しの頃って、セリフのある役をもらうのって大変なんですよね。
 しかも、やっとの思いでもらった役なのに、自分のイメージしている「俳優像」とは大抵かけ離れている役ばかりで、「こんな台本」「こんな役」では「オレが本当に引き立つような演技なんて出来るかよ!」って思うわけです。まして、同じ授業料を払っている、キャリアも同じ役者たち…、もっと言えば「オレなんかよりヘタクソ」な役者が、自分よりもいい役をもらっているんです。

 すべての俳優志望者が大なり小なり一度はぶち当たる「勘違い」という名のジレンマに、18歳の僕も直面したのです。そうして僕が導いた結論は、「自分に合った役や台本がないならば、自分で書いて、自分でキャスティングすればいい」という方法でした。
 早速行動に移した18歳の僕でしたが、「俳優がぱっとしないから」という理由で足を突っ込めるほど、作家や演出家の世界は甘くありませんでした。俳優になるために必ず超えるべき壁があるように、作家や演出家になるためにも様々な障壁があることを、その後の僕は身をもって知ることになりました。

 何より、演出という立場に立つと、役者をやっている時には見えなかった色々なことが見えてきます。
 役者は、作品の中における己の役のポジションを理解し、正確にその役を発色することが、「第一」であり「ほぼ全体」の仕事であるということ。己の「色」とか「主張」なんていうものをそこに介在させるのは、本当に最後の最後の香り付け程度の仕事であるということを知りました。。
 また、観客は、セリフを発している役者は見てなくて、セリフを受けている人物を見ているもので、セリフの意味を成立させるのは「受け手」側の仕事であることも知りました。

 とにかく、「役者兼演出家」という立場で芝居を見ていると、「役者って仕事はこんなにも面白いんだ」ということを再認識し、その奥の深さに愕然としたのです。
 だから、未だに僕は、「演出」なんてもののイロハは全く分かりません。役者が台本の中で遊ぶ行為には終わりがないし、今のところはその命題に挑むのに精一杯で、それ以外のことにはたいした興味がないからです。

 空中楼閣の芝居を見たお客様(それもおそらくは演劇関係者)からは、「FALCONの演出は音も光も使わないし、地味で面白みがない」という声も聞きます。しかし、派手な音や光のショーが見たければ、「そういう作品」を見に行けばいい。僕はどこまで行っても「役者」、すなわち「人間」が主役の作品しか作れません。
 ただ、「役者」が見たければ、「人間」が見たければ、僕の作る作品の劇場に来てください。きっと、あなたも「人間やっててよかった」と思えるような、まっすぐな芝居に出会えると確信していますから。


「礼の心を大切に…」FALCON

falcon
  
  
  
  
  
  
FALCON(第4回) | comments (6158) | trackbacks (0)

こんにちは、山下キスコです。

2011.05.17 Tuesday | 第4回

みなさまこんにちは、この度、観劇ディスカッションツアーに参加させていただくことになりました、山下キスコと申します。
演玩カミシモ(エンガンカミシモ)という女3人組で、福岡市を拠点に演劇活動を行っております。
劇作、演出、俳優、小道具、などなど、何でもやっておりますが、最近は、劇作と演出をメインとする日々です。

大学から演劇をはじめ、卒業後に今のメンバーと福岡市を拠点に活動を始めました。
大学は北九州だったので、福岡市を拠点とした<演玩カミシモ>としての活動は今年で4年目になります。
最初は知らない人たちばかりでしたが、いろんな人と繋がりがもてるようになりました。
最近は福岡だけでなく、九州・山口の人たちとも繋がり始めました。
このまま調子づいて、日本中、世界中と繋がって行きたいと思います。

ちょっと脱線した感じになりましたが、最近はそのようなことを考えながら生きています。

今回の観劇ディスカッションツアーでも、新たな繋がりを増やしていこうと思います。
新たな出会い、刺激、考え方や感じ方、などなどなどなど、たくさんのものを吸収していきたいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。


yamashita
  
  
  
  
  
  
  
  
山下キスコ(第4回) | comments (1850) | trackbacks (0)

観劇予定公演

2011.05.13 Friday | 第4回 > FPAP事務局

三坂です。
今回の観劇ディスカッションツアーでの観劇予定公演は、
以下の通りです!

6/3 20:00
shelf「untitled」
atelier SENTIO

6/4 14:30 
TOKYO PLAYERS COLLECTION × 王子小劇場「IN HER TWENTIES」
王子小劇場

6/4 19:30
青年団リンク 二騎の会「四番倉庫」
こまばアゴラ劇場

6/5 14:00 
少年社中「天守物語」
吉祥寺シアター
FPAP事務局 | comments (1052) | trackbacks (0)

劇作家・演出家のための観劇ディスカッションツアー(第4回)

2011.05.09 Monday | 第4回 > FPAP事務局

FPAPの三坂です。
今回(2011/6/3〜5)のツアー参加者を発表いたします!

FALCON(劇団空中楼閣)(福岡)
越智良江(劇団Tempa)(広島)
渡部光泰(village80%)(福岡)
山下キスコ(演玩カミシモ)(福岡)

FPAP事務局
高崎・三坂
FPAP事務局 | comments (807) | trackbacks (0)

レポート:中濱 博

2011.04.14 Thursday | 第3回

時間堂「廃墟」ワークインプログレス
シアターKASSAI

震災の影響で本来見る予定だった公演から変更して、ワークインプログレスという、通し稽古を見学するという企画に参加をした
照明は劇場の蛍光灯で行われ、本来の効果は得られなかったそうだが、作品の内容的に大きく魅力をそがれるということもなかったそうだ
実際作品の内容は会話を主体とした戦後の時代劇で、派手な音響や照明効果を使用しない類の舞台だった

廃墟という戯曲は、三好十郎が戦後すぐに書いた作品で、50年以上も前の作品である
古典でもなく、最近の有名賞を取った作品でもない、ましてやオリジナルでない戯曲の上演を見るのは新鮮だった
時代的には近いようで現代とはまったく違う状況で書かれた戯曲のはずだったが、現代の我々に十分響く内容だった

なぜ時代を超えて現代人の心に響くのか
演出家、俳優が現代人であるというのはひとつ大きな理由だろうが、これは題材としているテーマが人間の本質的なところから引っ張ってきているからだろうと考えられる

ディスカッションでは空間の使い方や小道具の処理や、言葉使いが話題になったことが印象に残っている
空間の使い方は、袖を作らず、邪魔になりそうな柱をうまく使い、劇場の空間をうまく使った舞台だった
また日常劇だが具体的なセットを組まずに、シンプルなつくりだっただけに、人々のやり取りに集中できた
言葉遣いは戦後の小説の登場人物が使いそうなものだったが、俳優は自分のものにしていて、聴きなれない言葉ばかりであったが、理解はしやすかった
実際演出家の方も気を使った点だと話していた



ゲキバカ「ローヤの休日」
王子小劇場

二日目昼に見た舞台
照明、音響、パフォーマンスをふんだんに使い、三方に客席を配置する舞台だった
よく動き、よく脱ぎ、客席は気持ちよく盛り上がっていた

この芝居の中で気になったのがパフォーマンスの作り方
キャラがそれぞれ立ち、ストーリーがわかり、ダンスや構成で面白くみせる
メインのパフォーマンスは劇中二回繰り返されたが、飽きることなくみることができた

この作り方に関してはディスカッションの中で検討され、おそらくこう作ったのではないかという話はされた
作り方自体はキャラを先に作り、プロットを作り、そこから振り付けをするというものだが
こういった技術的な議論までなされたのはディスカッションの成果であるといえる

またこの作品はパフォーマンスだけでなく、ストーリーでも凝ったつくりがされていた
パフォーマンスでもそれぞれの役が立っていたからだろう、ダンスなどが入っても浮くことはなかった
作品の中でのパフォーマンスの使い方のようなものを学ばせてもらった



パラドックス定数「Nf3 Nf6」
アートコンプレックス・センター

二日目夕方に見た舞台
美術館のような空間で、いす二つ、テーブル一つにチェス板、薄暗い空間で行われた二人劇
客席は部屋の両サイドに設置され、縦長の空間を使用しての芝居だった

設定は複雑に絡み合い、伏線の張り方や設定の結び付け方は脚本にうまく練りこまれていた
これはディスカッション中に気がつかされたが、たとえばこの戯曲で象徴的にも扱われているチェス版
これを中心に数学、戦争、ゲーム、そして過去の話を結び付けていた
ドラマを展開させながら象徴を中心に情報を開示していく手法はとても勉強になった

また、小部屋で実際現在に行われているやり取りと錯覚するような舞台だったが
設定ではナチスのユダヤ人収容所であったが、たった今虐殺から逃れたところから物語は始まり
終わったら理不尽な将校の待つ強制労働所に帰らなければならないといったように
演技だけでなく戯曲にも小部屋の外を想像させる表現がちりばめられていた

作品を見ているだけでは気づけなかった細かいテクニックなど
ディスカッションを通して戯曲における伏線の使い方や意味などを勉強させてもらった



青年団若手公演「バルカン動物園」
?こまばアゴラ劇場

三日目に見た舞台
生物学の研究機関を舞台にした、命を研究する人たちの物語
まさに問題作と言える作品ではないかと考える

登場人物たちは、人間の器官を人工物と差し替えていき、どこまでが人間と呼べるか
また自分の息子を救うために何匹ものサルを研究目的で殺すのは正しいことか、などの議論を、感情論や論理を交えて展開させる
人間と物の境目があいまいになり、不快感を覚える人は多くいたと思う

バルカン動物園は平田オリザさんの同時多発会話劇という形式の劇で
この形式のものは初めて見た
事前に聞いていた印象では、あっちこっちで会話が進行する劇というだけのものだったが、実際見てみると、細かく整理と計算がされていてすんなりと受け入れることができた
聴かせたいところで別展開の会話を重ねて注意を引いているのも、この形式ならではの演出方法であろう、新鮮だった

客入れの段階から舞台上では演技は始まっており、その研究機関の日常を演出していた
いつしか私も、いかにも日常を覗いているかのように錯覚し
劇が終わり、急に俳優が全員席を立ち、礼をしたときには心臓が跳ね上がった

この日常に客を入り込ませているからなお、当たり前のように命を研究している研究者たちに嫌悪感を抱いていたのかもしれない
だがただ嫌悪感を抱かせるための演出ではなく、それ以上にべっとりと伝わってくるものがあったし、ディスカッションツアーで見た演劇の中では一番印象に残っている
好みの問題で、私はこれほどまでに嫌悪感や不快感を演出して印象に残すような舞台は作らないと思うが、手法としては勉強になった
そして、ただ嫌な人間がいるということではなく、繰り広げられる議論の中で発生するイデオロギーが重要であることもわかった

テーマは重く、難しい問題だったが、それだけに一番印象に残った作品だった



まとめ
東京に触れて

たった三日間のディスカッションツアーであったが、とても密度の濃い滞在だった
芝居を見る間隔、人の数、ディスカッションといった要因は当然密度の高まる要因であろうが
人口密度の多い土地の特性として、人と人との距離が近い、ということを感じだ

と言うのも、今回私は鉄道の駅を中心に活動をしていたわけだが、駅にしろ電車内にしろ、常に地方ではあまりない満員状態が続いていた
結果知った顔もそうでない顔も常に接近している状態に置かれる
こうなると心理学的なものか、人間関係というのは近くなるように感じられた
こういう環境にあると人と人が心理的に接近するのも、地方より早いのではないかと考えられる
よって心の距離を埋めるべき時間が短縮され、企画にしろ具体的な話をはじめる地盤が出来上がるのではないかと思う
いわゆるノリがいいという心理状態に置かれるのだろう
これが私の住む大分との違いで、時間の密度を高めているのではないかと思う
もちろんモチベーションの高い賛同者が多いというような要因も大きいのだろうが、こういった印象を実感した

こういったモチベーションやノリは、東京などの都市のようには行くはずもないし、期待してはいけない
土地ごとの時間と言うのはとても大事だし、そこからしか生まれないものもある
やはり、自分の住んでいる土地としっかり会話をし、特性や求めているものを考え、感じて独自の文化を根付かせることが大切だと思った

ディスカッションツアーでは技術的知識や出会いなどとても大事なものもいただいたが
東京という土地でしか感じられないものも少しはもって帰れたのではないかと思う
ぜひ私のように九州に引っ込んでいるような人は参加してみるといいのではないだろうか
とても学ぶことは多かったが、何より楽しかった、お世話になりました


nakahama
  
  
  
  
  
  
  
中濱博(第3回) | comments (895) | trackbacks (0)